【第一話 少年】

「じゃあね~」

「うん、また明日」

私、古内楓。どこにでもいる、ただの女子高生だ。そして、今別れたのは幼馴染で同級生の日向花絵。ちょっとドジっ子でおせっかいな子。まあ、でも友達の少ない私にとって友達はとても大切な存在。どんな子でもわたしは友達として大事にしてるつもり。

「あれ・・・?」

花絵と別れてから少し歩いたところ。私は足をとめた。

「こんなところに・・・」

足元を見ると、熊のぬいぐるみが落ちていた。薄汚れてはいるが、パーツは一つもとれていない。周りに目をやると、すぐ近くにゴミ置き場があった。ごみ袋の一つが破けており、きっとこれはそこから出てしまったものだろう。

私はそのゴミ置き場へと足を運んだ。

「あ、ちょっとすみません!」

「え・・?」

後ろから声がした。
私に声をかけたのだろうか。とりあえず振り向いた。

「やっぱり!すみませんそのぬいぐるみ僕のなんです」
少年だった。小学校高学年くらいの男の子だ。少年は私がさっき拾ったぬいぐるみを指さして、頭を下げた。

「ごめんなさい、さっき落としてしまったようで」

「そうなんだ、はいどうぞ」

私はぬいぐるみを少年に手渡した。少年はもう一度頭を下げるとそそくさと去っていった。

それにしても変わった子だ。上下とも真っ黒な服を着ていて、つば付きの帽子まで、真っ黒だった。帽子を深くまでかぶっていて表情も見えなかった。

まあ、でも、今時の子はそういう子が多い気がするしなあ、とあまり深くまでは考えなかった。

「あ、いけない!」

徐に時計に目をやった。時計の針は午後6時を指していた。
今日はドラマの最終回の日だった・・・!!
私としたことが、こんな日に録画を忘れているとは。

私は家までの約500mを全力で走った。

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投稿日:2012/07/29 13:23:07

文字数:765文字

カテゴリ:小説

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