=雨空飛行=
~歌詞の世界解説~


夕立 雨に濡れ
もうどこにも行けない私を
「さよなら」気に留めず
立ち去る君

!!
そんなに好きでもなかった相手だったが、
ミクは自身の寂しさを埋めるために彼氏と付き合っていた。
そんな僅かなミクの我が儘を表現する場所からも、
彼氏は冷徹に、さよなら、という言葉でミクを追い出した。
彼氏も元からミクとまともに付き合う気持ちはなかった。
飽きたからとか、そんな軽い理由で
ミクは付き合っていた彼氏に別れを告げられる。

激しい雨が降ってきて、ミクは街中で雨に濡れる。
女性がこんな濡れた格好をしているなんて、
街中では不自然に思われるから、まともに歩けない。
それでも、彼氏はお構いなしに、さよなら、と言い残して
立ち去っていってしまった。
!!


見上げれば降り注ぐ
薄汚れた錆びたシャワーの雨
涙か雨粒か もうわからないわ

!!
街中に降り注ぐ雨なんて、工場の排気や、高層ビルの粉塵で薄汚れている。
彼氏に放置されたミクは、恋愛だけでなく、友人関係、仕事にしても、
なぜこう全てが上手くいかないのかと、惨めな気持ちになる。
ミクはどうすることもできずに、降り注ぐ雨を見上げてみる。
惨めさから涙が込み上げてきて、雨に混じって、頬を涙が流れていく。
!!


太陽のにおいするタオルでつつまれ
幼い頃の私は眠る
今、私はここにいる 私は、信じてる
前さえ向けばいい 夢中で

!!
いつから、こんなに惨めな人間になったのだろう。
ミクは街中で妄想する。
生まれたての頃は、母が洗濯して、太陽で乾かしたタオルで、
体をくるんでくれて、胸の中に抱いてくれていた。
ミクはその中で、何の不安もなく、温かな気持ちで、眠っていた。
そんな、愛情を受けて育った私(ミク)が、今、ここにいる。
私は決して汚れた価値のない人間ではないし、
自分を信じて、前を向いて、夢中で進めば、
きっとまた、温かく幸せな時間を手に入れられる。
!!


走り出した 私を振り返る
人を見下ろして
加速する私 飛行機のように
飛び出して行くわ

!!
(このシーンはミクの妄想)
雨に濡れたまま、ミクは走り出す。
びしょ濡れの女性が走っているのを見て、
周りの人達は何事かと振り替える。
ミクの走る速度は上がっていく。
そして、飛行機のように離陸して、
高層ビルの谷間から、天に向かって飛び出していく。

(現実には高層ビルから飛び降りて、
地面に向かって加速している。)
!!


夢見てるよう 飛び立つ私
無重力の世界で
太陽のにおい 包まれていく
懐かしい思い出よ

!!
(このシーンはミクの妄想)
すでに雨雲の上に突き抜けていて、雨は降っていない。
ミクの体はますます天に向かって飛び上がっていく。
だんだんと加速度を感じなくなり、ふわふわと舞っている、
まるで無重力の世界にいるよう。
天に近づいているのか、周りが穏やかで温かな世界になってきた。
母の胸元で感じていたタオルの太陽の匂いが
この温かな世界には満ちている。
懐かしい、昔の情景が浮かんでくる。
もう、このまま、ここに留まっていたい。
!!

こめかみに 垂れ落ちる
なまぬるい 粘り気のある雨
私の体温で 温まったのね

!!
(ミクは妄想から現実に戻される)
雨はまだしとしとと降っているが、
先程の勢いはなくなっていた。
髪の毛も濡れてしまっている。
頭皮で雨が温まった生ぬるい雨粒が、
こめかみをつたって垂れていく。
何となく、頭に損傷を受けて、
頭から血が垂れ落ちている感覚に似ている。
或いは、本当に血なのか?
まだ妄想の世界との境目にいる。。。
!!

気が付けば 人の声
街中 ざわめく雑踏
私は 息を吐き 歩き出す

!!
(ミクは完全に妄想から現実に戻される)
ざわざわと、人の声が周囲から聞こえてくる。
意識がはっきり戻ってくると、
先程、彼氏に別れを告げられ、雨に濡れ、
それから、ずっと街中に立っていたのだ
ということを思い出す。
いつも私はこんなものだとミクは思い、
落胆で深く息を吐き、
そして、また、いつもの生活へと戻るために、
歩き出す。
!!


輝くイルミネーション
煌びやかな町
私の好きな景色だから
また つまづいてもいいね
私らしくあれば 愛してられるよね
これからだって

!!
街中はイルミネーションで、きらびやかに彩られている。
私はこの街、この景色が好き。
だから、今回のように、
生きることにつまづいても、いいよね?とミクは自問自答する。
私らしく生きていれば、私は、私自身を愛してあげられるよね。
これからの人生だって。
!!


走り出した 私を振り返る
人たちを見下ろして
加速する私 飛行機のように
飛び出して行くわ

夢見てるよう 飛び立つ私
無重力の世界で
太陽のにおい 包まれていく
懐かしい思い出よ

声を聞きたいの 声を聞きたいの
声だけなの あなたの
加速する私 飛び出してゆく
懐かしい人たちよ

!!
(ミクは既に錯乱している)
やっぱり、誰かに頼らないと、
私は一人で生きていくことなんてできない。
別れを告げられた彼だけれど、
でも、声を聞きたい。多くは望まない。
声だけ聞ければいいから、だから、声だけ聞かせて。

ミクは天に向かって飛び上がっていき、
温かな世界で、懐かしい思い出と、
幼い頃に優しく接してくれた今は亡き懐かしい人たちに再開する。
!!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

雨空飛行の歌詞の世界解説

雨空飛行 の歌詞について、その世界観を歌詞を補足する形で解説します。

閲覧数:186

投稿日:2015/01/12 13:23:41

文字数:2,263文字

カテゴリ:その他

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