「がっくんって最近かっこよくなったよねー」

「…は?」

そんなことを急に言い出したのは、私の親友、リンだ。
丁度、がくぽに肉じゃがをあげてから、2週間ほど後の事である。
そういえば、あの後がくぽに会ってない。家隣だし、同学年だし、会おうと思えば会えるのだが、クラスが違うし、会おうと思わないので、会っていない。

リンは、背が低いし童顔な為、一見中学生と見間違えられそうだが(口に出したら怒るだろうなぁ;)、立派な同学年である。意外と、はっきりとした物腰なとこと、明るく屈託のない笑みをするとこが気に入っている。

…と、言うか、恋バナにいく脈絡さっぱりなかったぞ。
リンってば、どうしたのよ急に。

とか思っていると、リンが更に爆弾発言を。


「付き合っちゃおうかな?」


「はぁ?!」


ガタンッ、
と、ついつい起立状態になってしまった。

科学の先生に叱咤される。
……どうやら、今は科学の授業中だったらしい。

「あれ?ルカもがっくんのこと好きなの?その動揺っぷりからみると」

リンはがくぽのことを「がっくん」と呼ぶ。がくぽを紹介した3秒後には、がっくんになっていた。…すごいナゾだ。

「いや、そんな昼ドラ的展開にはならないわよ。ただ純粋に驚いただけよ」

「じゃあ、あたしの恋、応援してくれる?」

「勿論。」

心の中になにかが渦巻いた気がしたが、無視して頷く。
だが、こくんと下げた頭はいつもより重く、軽い眩暈がした。





あぁ~…。

最近、ずっとこんなうだうだしている事が続いている。
なんか、変なもやもや感というか、センチメタルっていうか…。

だからだ。
だから、リンに連れられるまま、がくぽと帰る事になってしまったのだ。


―――あの後、リンがまたもや唐突に(リンは接続詞について学び直した方が良いと思うわ、本当に)言い出したのだ。

「あたし今日、がっくんと帰るわ!」

「はぁ?」

そろそろリンの爆弾発言には少し体制がついたわ。そんな私GJ。

「だって、よく考えると、あたしがっくんと接点そんなないし!これは近づくしかないと思うのよ!」


…そんなやつに告ろうと思ったのか…。
私はリンが、寛大なる馬鹿に見えた。

「まぁ、頑張って。それなら私今日一人で帰るわ」

いつもはリンと帰っているので、私はそう言った。
が、


「何言ってんのよ。ルカも一緒に帰るのよ」


リンにさも当たり前かのように言われた。

「……いや、明らかにおかしいわよ、それ。なんでアタックするのに私が必要なのよ…」

うっ、とリンは言葉を詰まらせる。その後、小さな音量で俯き加減に言った。


「だって、がっくんと二人きりで帰るなんて、緊張して話せなくなるじゃないっ……」

そんなリンを可愛いと思うと同時に、私と同じじゃない…と、一瞬思ってしまった。






そんな訳で、がくぽとリンに挟まれ、私は歩いている。
というか、何で私が真ん中何だ…。今すぐ配置変えろよ…。

リンとがくぽの間では、他愛のない話で盛り上がっている。


…うん。リン普通に話せてるじゃん。


……。

………………。

私が付いてくる必要性なかったわよね?!
寧ろ邪魔者じゃない?私。

あぁ、今すぐ帰りたいっ!!
…って、現に帰る途中なのだけれども。



「はぁ、」

自然とため息が漏れる。すると、目ざといリンに聞かれていたらしく、

「なになに?なんか悩み事?」

…ってオイ、

「…誰のせいだと思ってんのよ」

確実にリンのせいだ。


「がっくん、明日あたしん家よっててねー」

「あぁ。…何でだ?」


さらりとかわしたリンを恨めがましく見ると、「さりげ誘っちゃたけど、どうしよー」的な視線がリンから送られてくる。
……最初に考えてから誘えよ、と思いつつ、私はフォローに入る。


「お勧めのCDがあったのよね、リン?」

「あ、…あぁ!そう!だからよ!」

明らかに怪しいけどいいのか。でもがくぽは楽しみだとか何とか言って気づいてない様子。鈍感なのか、何なのか…。





―――ん?

あれ、ちょっと待って…、


リン、もしかして、

告は、く…

する気なのかなぁ……


今だって、凄く仲良さそうだし、

きっと上手くい、く…





なんて考えたら、
不意に視界が滲んで、涙が溢れそうになった。

なんでかって?
そんなのこっちが聞きたいわよ!

とにかく、二人にそれを悟られたくなくて、「用事思い出したから!」と言い残して慌ててその場を去った。



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

a childhood friend 2 

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てゆうか、なんか居たたまれなくて自分の作品が読めない…(泣)

閲覧数:390

投稿日:2011/09/29 10:11:30

文字数:1,907文字

カテゴリ:小説

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