おいしいお茶が飲みたいよ。

このところ日照り続きで、もう何日も何も飲めてなくて。

昨日食べた乾パンひとかけで、食べ物は終わりなんだって母さんは言ってた。

僕らみんな死ぬんだって。

あの日。みんなは幸せだった。

たぶん、この世の誰もが満天の夜空を見上げていた。今夜は流星群だ、なんて。

何度も降り注ぐ流れ星。きれいだなあ。

まるでこの世の始まりみたいだね。誰かが言った。

僕もよくわからなかったけど、きっとそうだと思ってた。

でも、違ったんだ。

アレは、この世の終わりの始まりだったんだ。

星は僕たちの元に落ちてきた。

星は星どうしでぶつかって、きれいに瞬いて消えてった。

いつも僕を見守ってくれてた月も粉々にくだけちった。

残ったのは太陽だけ。地球はおかしくなった。みんなもおかしくなった。

暑い暑い日が続いた。雨は降らなくなった。ヒトの食べ物はほとんど作れなくなった。

おなかが減った。喉が渇いた。でも満たせないから、苦しくて。

たくさんの人が死んでった。僕の父さんも、不安に押しつぶされるように死んでった。

母さんと僕だけが残った。

まだどこかにあるかもしれないオアシスを探して旅に出たんだ。それが4日くらい前。

でも、もう終わり。

そんなものはどこにもなかったんだ。

母さんももうしゃべらない。父さんのところへ行ったんだろう。

僕もいくよ。

また三人で、おいしいお茶を飲めたらいいな。

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喉が乾いたよ

即興小説トレーニングで書いてみたもの。
お題は「明るいお茶」。
あそこのお題は結構無茶振りが多くて難しい。

閲覧数:102

投稿日:2014/12/11 14:29:16

文字数:619文字

カテゴリ:小説

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