くちなしの白が 甘く香る
緑の垣根をくぐる小道で その甘さにとらわれてしまったの
花を数えながら 深く誘い込まれていく 鍵も持たない私
見つけるたび触れた指先に 香りがうつる
ひとひらの白が ほとりと落ちた
ヘンゼルが落とした小石みたいに 月の光に輝くのかしら

進むたび濃くなる香り 何も考えられなくなっていく
鼻にふれた雨粒にさえ 気づかないまま
雨にうたれたくちなし 少しずつ朽ちていく 甘い香りはそのままに
雨にうたれた私 少しずつ朽ちていく 指先からほどけていく

くちなしの白が 甘く香る
数え切れないほど 深く誘い込まれたわ 鍵は私だったの
指先から香る腐臭 爛れるような
落ちていく白は 音もたてずに
朽ちて色をかえてしまったの もう白く輝いたりしない

濃密な香りの中で もう何も考えなくていいの
ふりしきる雨にうたれ 眼を閉じるだけ
雨にうたれてくちなし 少しずつ朽ちていく 色を変えていく
雨にうたれて私 少しずつ朽ちていく 美しいまま朽ちていく

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  • 非営利目的に限ります

山梔子

梔子の香りは甘くて好きです。
やはり詩を書く練習。
歌詞を書きたいのですが、声にして美しい文章というのは難しいです。

閲覧数:25

投稿日:2009/06/24 19:51:08

文字数:434文字

カテゴリ:その他

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