響きは流れて
少女は倒れる
影は痕なく消え

日差しが捩れて
陽炎を呼んで
地の赤の花を揺らした
  
男は幻を辿る様に 影の姿をただ追っていく


匂いだけ 糸口に 裏道を駆けぬけて
猟犬の 本能を 研ぎ澄まし刃をはなつ
届かない かわす影 それは鴉の様に
高く飛び 陰影は 薫りだけを残した


複雑に絡む 
電信の線に
鴉は耳を研ぐ

ノイズの向こうに
見えたのはひとつ
傍に立つ鐘楼の音

潜む男の捉えた影は ライフルを持った女の色


その色は 振り返り 男の影 見据えた
引き金は まだ遠く 微笑みをも 浮かべる
交差する 黒と黒 その銃剣 重なり
その音は 幾つもの 不協和音 をつくる


駆け引きから 紡ぐ糸は
点と点で 張り詰められ 
心拍から (果てしのない)
叩く音が (許しのない)
静寂を (この世界を)
揺らし続けた

凪いだ風 真上の陽 響き渡る鐘の音
その刹那 揺れる影 重なる二つの音 

向き合った その軌跡 同じ弧を描いて
それぞれに 一筋の その標を刻んだ
日差しから 捩れから 陽炎は呼び出され
灰色の 景色から 蜃気楼が生まれた




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

鴉と猟犬

真屑さんの詩「リコリスとライフル」の影響を受けて書いた作品。

真屑さんは私の師匠の様な存在。いまでも目標にしている。
でも師匠、ピアプロから去っていった。
すんごい詞をバンバン書いていて、すごく個性があって、感性も瑞々しくて、そして技術もあった。個性が強すぎるからピアプロでは採用されにくかったかもしれないけど、見る人が見たら光輝く詞だった。
真屑さんの言葉が、私の詞における基礎を形作っている。
悩みとかも相談できる人でした。

閲覧数:196

投稿日:2011/06/03 03:31:39

文字数:498文字

カテゴリ:歌詞

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