(偽物の)
花はもう咲かない
(花束を)
あなたが残した
傷痕にそっと
口付けをして俯く
(まだ消えないで)
交わした言葉を
記すための本
書くことはもうないんだ
(残された白さも)
最後の頁には
果たされないまま
約束朽ちていくよ
いつか会えなくなることも
分かってるつもりでいたのに
それはこんなにも突然で
さよなら、も言えずに
街は夜色 雨粒が
穏やかに私を濡らして
きっと泣き顔を隠すから
躊躇わずこぼして
花はもう咲かない
あなたが残した
傷痕にそっと
身体埋めて眠った
(あなたを感じて)
なくした温もり
消えないようにと
シーツのなかに閉じ込め
(これだけはこのまま)
鈍色満月の
なるべく近くで
光を浴びられたら
降った一筋の星屑に
願うのはあなたとの日々で
どうか誓ってた約束を
本物にしたくて
『次にあの花咲く時は
またふたり一緒に見ようね』
こんな叶わない絵空事
いつまでも抱えて
(あの花の種)
(庭に蒔いたけど)
(あなたがいないと)
(悲しさの水滴)
(たくさん含むから)
もう咲かない
いつか会えなくなることも
分かってるつもりでいたのに
それはこんなにも突然で
さよなら、も言えずに
二度と増えないその頁
決めたから最後に書き足す
本を閉じたなら目を開けて
まっすぐに歩くの
(Artificial flower)花はまだ咲かない
(Artificial flower)あなたが溶けてくその時
(Artificial flower)代わりに贈るんだ
(Artificial flower)揺れるその海に
偽物の花束を
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