A
知らない話の途中で、
微かに笑う君の頬。
掠れた声で呼び止めた。
何かを言おうとしていた。
B
その時だけなら、なんでもいい。
「寂しい」の埋め方を教えて。
S
最終列車を逃して、
何もかも息を吐いて、
濃い霧も、濡れた髪も、
もう君の影は、ないの?
本当は全部、覚えてる。
君の手が僕に触れてる。
目があったときに、
逸らした、
視線も。
A
知らない話の途中で、
動きを止めた君の肩。
揺れた髪で遮った。
何かは、もう言わないで。
B
口先だけなら、どうでもいい。
「寂しい」は君には解らない。
S
始発の列車に乗って、
何もかも息を止めて、
蜘蛛の巣に絡む塵に、
まだ君の影を、探す。
本当は全部、覚えてる。
君の手から僕は逃げた。
目があったときに、
名前を、
呼んで。
C
言葉なんて、全部全部、
脆いんだよ。解ってるでしょう。
恋とか愛とか、好き嫌いも、
誰がどうやって決めているの。
言葉なんて、全部全部、
弱いんだよ。解ってるでしょう。
大事だとか、そうじゃないとか、
誰がどうやって表したの。
最終列車を、逃して、
何もかも息を吐いて、
君が目を覚ます前に、
少しだけ泣いてしまう。
本当は全部、解ってる。
もうこれは僕の歌じゃない。
目はあわさないで、
嘘だと、
言って。
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