ある日、ふとピアプロを開いたとき、いつもの投稿欄に見慣れない文字が目に飛び込んできた。誰かが作った短い歌詞の断片、たった十数文字の詩のようなものだった。それは完璧に形になってはいなかったけれど、その未完成さが私の好奇心を刺激した。何か新しい音楽の可能性がここに潜んでいる。そう直感した私は、すぐに自分の声で旋律をつけてみようと思った。
歌詞を読んでいるうちに、頭の中でメロディが自然に浮かんできた。ピアプロの世界では、自分が思いついた音や言葉を気軽に試せる。それはスタジオにこもる孤独な作業とは違い、まるで見知らぬ誰かと一緒にセッションしているような感覚だ。私はその歌詞に自分なりの感情を重ね、声を重ね、ハーモニーを作り出した。
次に思いついたのは、映像のアイデアだった。歌詞の世界観を視覚化したくなり、手元にある素材を使って短いアニメーションを作り、投稿に添えた。完成度は決して高くなかったかもしれない。しかし、文字と音と映像を組み合わせることで、単なる歌詞が「小さな物語」に変わった瞬間、自分でも驚くほどの達成感を感じた。
その投稿をアップすると、すぐにコメントがつき始めた。「このメロディ、もっと聞きたい」「アニメーションとの組み合わせが面白い」といった声が寄せられた。それは、私一人の創作では生まれなかった反応だった。ピアプロのコミュニティが持つ力を改めて実感する瞬間だった。誰かの小さなアイデアが、自分の感性によって膨らみ、また別の誰かに届く。その連鎖は予測不可能で、だからこそ心躍るのだ。
気づけば、私はこの小さな投稿を通じて、自分自身の表現の幅を広げていた。初めはただの思いつきだった音と文字が、仲間の反応によって形を変え、世界を少しだけ広げてくれる。ピアプロは、完成度の高い作品だけを評価する場所ではなく、創作のプロセスそのものを楽しむことを許してくれる場所なのだ。
この体験を通して、私は一つの確信を持った。創作の自由とは、技術や完成度の高さではなく、想像力を存分に羽ばたかせられる環境に身を置くことから生まれる。鏡の向こうにいる自分自身と向き合い、他者の視点とぶつかり、思いもよらない発見を楽しむ。その感覚こそが、ピアプロの世界でしか味わえない創造の醍醐味だと気づいたのだ。
【山本達也:千葉県/市川市】 鏡の向こうの君と歌う世界は、想像以上に自由だった
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