『ある怪盗の不覚』



回るパトランプと罪のない寝顔に背向けて

息もつかせぬよな　バチバチの駆け引きをキミと



煙りきった宵の口を胸に抱いて　何を思う？　それも分かりはしないで

一か八か！　一を出して詰みかけても

止まれないよ　心に決めた答えはきっと



進め！　這って泣いて　息をひそめ　キミを手の内へ

月明かりに見上げた　決定的な横顔を

「進めない」って　ないって　声を払え　見つめ合う前に

闇にまぎれて行く　声にならない声を上げて




「こちらは異常無し」　赤子のような言葉　嘘のよう



怯え切った胸の内は手に隠して　語るだろう　それも不敵な笑顔で

待ちに待った時が来たら　何を言うの？

獲物はきっと僕の方　果ては愛か鎖か



「見つけた！」って　立ってられない程　思い知らされて

何か欠けた自分を　持て余すのは止めだよ

「求めない」って　ないって　見ないフリで生きる術はない

満ちる時の砂を止められる者はもういない



見つめあって　泣いて　答え合わせ　僕を言祝いで

二人だけの視線を永遠的に思わせて



進め！　立ってないで　息を吐いて　キミを手の内へ

月明かりに見上げた　決定的なその顔を

「進めない」って　ないって　声の果てに　見つめ合う刹那

闇にまぎれてゆく　声にならない声をかけて