私たちを心配して、ロアの次に声を掛けてくれたのは翡翠色の髪をした男性でした。

「本当にケガは無い?」

「大丈夫です。貴方たちのおかげで助かりました」

「なら、よかった。あそこに居る金髪頭のオジさんが、目眩ましをしたからね。お姫様たちもチカチカしたかと思ったんだ」

 シャイニングフォースと呪文を唱えた魔法は、相手の視界を奪う魔法だと翡翠色の男性から説明がありました。すると、シャイニングフォースを唱えた金髪頭のヒトは……。

「俺の魔法、ネーミングセンスありありだろ?」

「えっ? ええっ……よいと思います……」

 私としては、貴方は何歳のオトナですか? と言いたかったのですが、金髪頭の男性ことガイアさんが余りにも自信に満ち溢れた顔をしていたので、本音を言うのはやめました。なぜなら可哀想だからです。

「姫様、この者から悪影響を受けてはなりません。かなりのセガマニアで御座います」ロアはそう言って、私をガイアさんの近くから離します。

「おいっ! オッちゃん。子どもたちにセガの良さを伝えて、なにが悪いんだよ?」

「セガはやはりセガだからな。尖りすぎたメーカーは、姫様たちへ悪い影響を与えてしまう」

「なんだとコラッ! 今からリアルバーチャするか?。俺はジャッキーの技を覚えてんだぜ」

「ふんっ、騎士であるこの私は、バーチャなどせん。やるのはソウルキャリバーだ」

「オッちゃん、ナムコ派か……」

※ソウルシリーズ=ナムコ(現バンナム)の剣劇格闘ゲーム※

 ロアとガイアさんは、互いに睨み合って火花を散らしていました。バーチャとソウルキャリバー、この両雄を作成したメーカーは3D格闘ゲームで最大のライバルであることを、まだ幼かった私たちへ教えているようです。

「いい加減にしな、セガマニアとナムコマニア。見苦しい争いをするんじゃないよ」

 呆れた顔をしながら、火花を散らす2人へ割って入ったのは、ライダースジャケットを羽織ったヴァンパイアの女性でした。

「私たちはさ、ジークレフの持ち主なんだよ。せっかく仲間になったんだから、コレで親睦深めようって決めたじゃないか」

 争う2人を説得したヴァンパイアの女性は、ふくろの中から黒い色のモノを取り出しました。そのモノには、背後に【PSP】と刻印が記されています。

「そうだったな、バーバレラ。よし、今から皆でPSPを繋ごう」

「よっしゃーっ、今からファンタシースターポータブルでパーティー組むぞ」

 ガイアさんがPSPを持つ手は普通でしたが、それ以外のヒトたちは違いました。4人のうち、3人はPSPのアナログパッドを親指に当て、十字キーには折り曲げた人差し指で操作する…と器用さを求められる独特な持ち方をしていたのです。

「ガイア。悪いけど僕たちは、今からモンスターハンターポータブルでパーティーを組むんだ」

「PSPは、モンハンを遊ぶためのゲーム機だからね。ファンタシーするなら1人でやりな」

「リアルに大剣を背負う私は、モンハンでも大剣使いだ」

「俺だけ、仲間はずれかよーーっ!!」

 ガイアさんは空に向かって叫んでいました。仲間同士、PSPを持っていてもソフトが違えばパーティーから外れてしまうからです。
 そんな折、親友のリアーナとレオナルドは、大人たちのするゲームに興味津々でした。はじめて見る協力プレイ、はじめて見る巨大なモンスターへ立ち向かうプレイヤーの姿。今まで1人用ゲームしかしてこなかった彼女にとって、仲間と協力するゲームが魅力的に感じたのでしょう。

「なっなんじゃ! その面白そうなモノは!?」リアーナが翡翠色の髪をした男性が持つPSPを覗き込むと。

「ああ、これはね……モンハンって言うゲームなんだよ」

「こっ…これはよい! 我が国の魔術師たちにも、モンハンを広めねばならん」

 こうしてロアとその仲間たちに助けられた私たちは、自分たちの国へと帰えることができました。だから、私は目の前にいる貴女たちを見て初対面じゃないと言ったのは、小さい頃の思い出が蘇ってきたからですよ。

※一人称モード終※

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次話
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マニアックなゲームネタですいません。

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投稿日:2020/02/08 17:53:58

文字数:1,713文字

カテゴリ:小説

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