カオル入場。うろうろと歩き回る。考え込んで立ち止まる
魔女入場(終始踊るように)
魔女「どうしたの?」
カオル「あの、迷ってしまって・・」
魔女「人生に?」
カオル「は?」
魔女「あ、ごめん。なんか、そんな顔してたから。」
カオル「はあ・・。あの、道に迷ったんです。」
魔女「そっかぁ。それは大変だね。でも、ここってそんな迷うようなとこじゃないと思うけど。」
カオル「・・・・。」(目を伏せて数歩下がる)
魔女「ああ、ごめん。私、思った事ってすぐ口に出ちゃうんだ。直さなきゃいけない悪い癖だよね。」
カオル「いえ、そんなこと。」
魔女「そう?」
カオル「・・・・・。」
魔女「・・・・。」(にこにこと見つめる)
カオル「あの・・聞いてもいいですか?」
魔女「あ、道に迷ったんだっけ?どこに行きたいの?」
カオル「出口がわからなくて・・。」
魔女「出口?そんなものないよ?」
カオル「え?」
魔女「あなただって、さっき見てたでしょ?ここには部屋と廊下しかないよ?」
カオル「なんで、そんなところにいるんですか?」
魔女「え?なんで?変かな?」
カオル「だって、出口がないって・・どうやって来たんですか?元々ここにいたんですか?」
魔女「落ちてきたんでしょ?ほら、不思議の国のアリスだって、まず始めに落っこちるじゃない」
カオル「・・・・・・」
魔女「ねえ、聞いてもいいかな?」
カオル「はい?」
魔女「あなた男の方?女の方?・・年いくつ?」(顔を覗きこむ)
カオル「・・・・」(顔を逸らす)
魔女「中性的っていうより、曖昧よね。洋服だって特定しにくいし、なんていうか・・・どこまでも普通すぎて逆にわかりづらいって言われない?」
カオル「まあ。」
魔女「あ、ごめん。こんなこと言ったら失礼か。」
カオル「いえ・・よく言われますから」
魔女「やっぱり?」
カオル「面と向かって言う人は少ないですけど」
魔女「やっぱり?ごめんね。あ、そうだ!名前!名前くらいなら聞いても良いかな?」
カオル「・・カオルです。」
魔女「カオル・・。カオルくん?カオルちゃん?」
カオル「呼び捨てでいいですよ。あなたは?」
魔女「わかった。カオルね。私は魔女。よろしくね。」
カオル「魔女・・さん?あだ名・・ですか?」
魔女「あ、私も呼び捨てでいいよ。・・うーん、結局性別わかんなかったなあ。あ、でも、もうこれでお友達だよね?」
カオル「え?あ・・はい。」
魔女「もう!友達なんだから、敬語なんてやめてよ。」
カオル「あ・・うん。ごめん。」
魔女「ううん!そうだ、カオル!せっかくだから、みんなにもご挨拶しよう?」
カオル「みんなって・・?誰かいるんですか?」
魔女「敬語禁止!」
カオル「あ・・。えっと、ここって他に、誰かいるの?」
魔女「ううん。いないよ。カオルも見たでしょ?」
カオル「じゃあ・・誰に?」
魔女「大丈夫。心配しないで。すぐに会えるから」
カオル「・・どういうこと?」
鶏「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」(叫びながら登場、そして幕へ)
魔女「ほら、来たよ。行こう!!」(鶏を追って、カオルを連れて行く)
鶏「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」(叫びながら登場、そして幕へ)
魔女「待ってーーーーーー!」(追って幕へ)
鶏「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」(再び)
カオル「あのーーーーー!!」(再び)
鶏「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」(再び)
カオル、魔女入場後待機
鶏「うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」(再び、そしてカオルと魔女に足を引っ掛けられ、転ぶ)
鶏「な、何?」
魔女「ねえ」
鶏「うわぁ!!?」(逃げようとする)
カオル「あ、ちょっと待って。」(腕をつかむ)
鶏「(転ぶ)あ、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
カオル「あ、いえ・・こちらこそ、すいません」(離す)
鶏「あの・・何か、用ですか?」
カオル「あ・・えっと。」(魔女を見る)
魔女「ごめんね。あなた、止まりそうになかったもんだから、ちょっとひどいことしちゃった。一応声はかけたんだけどね」
鶏「え、あ・・そうだったんですか?あ、ご、ごめんなさい。あの・・、気が付かなくて・・ごめんなさい!!あの・・怒らないでください・・・!」
カオル「あ、いや・・別に怒ってないんで」
鶏「ほ、本当・・・ですか?」
魔女「うん。ところで、怪我してない?大丈夫?」
鶏「あ、はい!!大丈夫です。」
魔女「そう。それなら、良かった。」
鶏「あ、いえ、私が不注意だったんですから、そんな、気にしないでください。」
魔女「そう言ってくれると助かるよ。ところで、何をそんなに慌てていたの?」
鶏「あ、そうだった!!!え・・えと・・あの」
魔女「なあに?」
鶏「逃げてもいいですか!?」
魔女「なんで?」
鶏「あ・・あの・・えっと・・・」
魔女「ちょっとくらいなら時間あるよね?ねえ、紹介したい人がいるんだ」
鶏「え・・ええ?・・でも・・」
魔女「ほら、カオル。」
カオル「え・・でも・・いいの?」
魔女「ほら、急いでるんだから、ちゃっちゃとやんなきゃ。」
カオル「あ・・うん。カオルです。よろしく。あなたは?」
鶏「あ・・よろしくお願いします。えっと・・私は鶏です。」
カオル「鶏?え、鶏、さんでいいんですか?」
鶏「え?はい。あ、呼び捨てで結構ですよ。」
カオル「あ・・はい。ありがとうございます。」
鶏「そんな・・敬語なんて使っていただかなくても大丈夫ですよ。カオルさん。」
カオル「え・・でも」
魔女「鶏のは癖だから気にしないで良いよ。」
カオル「あ・・うん。」(考え込む様子)
魔女「・・・どうかした?」
カオル「あ・・あの、この名前って誰が付けてるんですか?」
魔女「別に、誰がつけてるってものでもないよ?」
カオル「それで・・魔女と鶏?」
魔女「うん。いい名前でしょ」
カオル「・・・・・うん、そうだね。」
鶏「あ・・あのっ!!・・・えっと」
魔女「なあに?」
鶏「逃げてもいいですかっ!?」
魔女「・・・ダメって言ったら?」
鶏「ええっ!?でも・・あの・・」
魔女「何があったか話してくれてもいいと思うけど?」
鶏「あ、はい・・えっと・・・その・・・」
魔女「あ、そうだ、カオル」
カオル「うん?」
魔女「怒らないで聞いてあげてね。」
カオル「え?・・・うん。」
魔女「よし。で?何があったの?」
鶏「あ・・実は・・その・・・・私、かかしさんを怒らせてしまったみたいで・・・」
カオル「かかし?」
魔女「何でそんなことしたの?かかしって怒ると怖いでしょう」
カオル「ねえ、かかしって誰?」
鶏「そうなんですけど・・・・あの・・・ちょっと・・・」
カオル「あの・・他に人いるの?」
魔女「もう・・仕方ないなあ。一緒に謝ってあげるから、事情を説明してくれる?」
鶏「えぇっ!?あ・・・あの・・えっと・・」
カオル「あの、ねえ、かかしって・・」
犬入場
犬「おーやおやおや。誰かと思ったら皆様方。鶏殿。ごきげんよう。」
鶏「あ、はい。ごきげんよう・・。」
カオル「・・ねえ、魔女、あの人誰?」
犬「こちらの麗しいお嬢様方もご機嫌麗しゅう。」
魔女「こんにちは。」
カオル「ねえ、魔女ってば」
犬「して、魔女嬢?」
魔女「なあに?」
犬「そちらの方は魔女嬢のお知り合いで?」
カオル「まじょ「じょう」って・・」
魔女「そうだよ。ほら、自己紹介して?」
カオル「え?」
魔女「ほら、カオル」
カオル「え・・ああ・・うん。」(不満そうに)
犬「どうしました?なにか、ワタクシと知り合いになることに何ぞ不都合でもおありかな?」
カオル「あ、いえ・・そんなこと。」
犬「そうですか。それならば宜しい。して、お名前を伺ってもよろしいですかな?マドモアゼル」
カオル「マドモアゼルって・・あ・・カオルです。よろしく」
犬「カオル嬢!なんとお美しいお名前か。」
カオル「はあ・・(首を捻る)ありがとうございます」
犬「いやいや、礼には及びませんな。ただ、思ったままに口から出ただけでございますので。ああ、申し遅れましたな。ワタクシ、犬と申すものでございます。以後お見知りおきを」
カオル「いぬ・・・さん?」
犬「そんな、さん付けなど余所余所しい!お近づきの印にただ、犬とのみお呼びくださいませ」
カオル「はあ・・」
犬「どうかなさいましたか?カオル嬢」
カオル「あ、いえ別に。」
犬「何か困ったことがおありでしたら、何でもお申し付けくださいませ。ワタクシはいつだってお美しいお嬢さん方の味方なのですから。」
カオル「はあ・・。別に魔女みたいに適当にあしらってくれても結構ですよ?」
犬「そんなっ!カオル嬢のお言葉を適当にあしらうだなんて!出来るわけがないでしょう!
カオル「え・・でも・・今まで散々置いてけぼりにされてますよ?」
魔女「何言ってるの。人聞きの悪い!私がそんなことするわけないじゃない!」
カオル「え・・?」
魔女「当たり前でしょう!ここで、カオルを無視できる人なんていないよ?」
カオル「・・・・・魔女って天然?」
魔女「なんで?私なにかしたかな?」
鶏「さあ?私には思い当たりませんで・・」
カオル「・・もういいよ」
犬「ところでお嬢様がた。先ほどなにやら下賎なお話をされていたようですが?」
カオル「下賤?」
犬「ええ。あの卑しい輩の話をしてらっしゃったようですが?」
魔女「犬。そういう言い方は良くないよ。かかしにはかかしって言うちゃんとした名前があるんだよ」
犬「いやいやこれは申し訳ない。」
カオル「かかしって?」
魔女「ダメだよ」
カオル「え?」
魔女「自分の知らない人の話は軽々しくしちゃダメでしょ」
カオル「でも、魔女たちが話してたから」
鶏「私たちはかかしさんのこと知ってますから」
魔女「カオルはまだかかしのこと知らないんだからダメだよ」
カオル「どういうこと」
犬「そうですそうです!あんな下賎な輩のことなど放って置きなさい!」
魔女「だから、そんな言い方しちゃ駄目だって言ったでしょう!ちゃんとかかしって言わなきゃ!」
カオル「言うなって言ったり、言えって言ったり忙しいね」
鶏「全くですね。常識が足りないんですよ」
カオル「・・常識だったんだ・・これ」
鶏「そうですよ?小さい頃にご両親に教わりませんでした?」
カオル「・・・そうだね。」
魔女「鶏!カオルを苛めちゃダメじゃない!」
鶏「え!?いやっ!ごめんなさいっっ!そんなつもりでは・・」
魔女「全くもう!世話の焼ける。まあいいけど。ところで、」
犬「どうしました?」
魔女「犬は何してるの?こんなところで」
犬「よくぞ聞いてくださいました!!ワタクシ、鶏殿を誘いに来たのですよ」
鶏「えぇ!?またですかあ!?」
犬「ええ!是非とも、ワタクシと兄弟の契りを交わしましょうぞ!」
カオル「・・・・なに?兄弟の契りって・・?」
魔女「家族のように仲良くしましょってことだよ。でもダメだよ。鶏は元々かかしと契りを結んでるんだから。勝手に他の人となんて結べるわけないでしょ。」
犬「何をおっしゃいますか!かかし殿とは既に破談しておられるともっぱらの噂ですよ!今や独り身となり後見のいない可哀想な鶏殿・・・。ですが!そのお人柄を見込んで、ワタクシがその身を引き受けようと申しておるのです!」
鶏「で・・・ですからあ・・」
魔女「破談してるなんてただの噂でしょ?」
鶏「そうですよ。私はまだかかしさんと契りを結んだままなんですから・・」
カオル「浮気しましょって言ってるようなものってこと?」
鶏「あの・・・その言い方はちょっと語弊があるかと・・」
魔女「そうだよ!いやらしい!兄弟の契りはそんなはしたないものじゃないんだから!」
カオル「え・・あ・・ごめん。」(首を捻りながら)
犬「しかし!しかしですぞ!鶏殿はもうかかし殿と兄弟の仲でいることに嫌気が差していると言うでは無いですか!いずれ破談するのであれば、今からでも後見を見つけておくことに損はありませんでしょう!」
魔女「誰がそんなこと言い出したの!かかしと鶏はもう長いこと兄弟の仲なんだよ!今回だっていつもの喧嘩と同じ。すぐおさまるよ。」
鶏「そ・・そうですよ!」
カオル「喧嘩・・してるの?鶏」
鶏「あ・・・はい。そうなんですよ。」
犬「どうでしょうね!かかし殿の怒り様はいつものものと言うには些か過ぎたものがあるように見受けられますぞ?」
鶏「えっ!?そ・・そうなんですか?」
魔女「かかしが怖いのなんていつものことだよ。何だって今回ばっかりそう馬鹿みたいに騒ぎ立てるの」
犬「別にワタクシが騒ぎ立ててるわけじゃありませんよ。ワタクシはただ、鶏殿とかかし殿が破談するという噂を聞き付けて、それならば、とこうして参っただけなのですから」
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