「何で私の家にいるのよ」
コタツから這い出た人影に言葉を投げかける。
「酷ぇな~正月ぐらい一緒に居てやろうというお兄様の優しい気遣いが分からんのか」
絶対嘘だ。
「また仕送り使い切ったから私に肖ろうってワケね」
「その発想が真っ先に出てくることにお兄さんガッカリだよ」
その人影は若干涙目だった。

凪の従兄である日向 悠(ゆう)は小学生の頃に両親を失い凪の夫婦に引き取られたのだが現在アパートを借りて一人暮らしをしている。
しかし、アパートが凪の家に近いからなのか悠はよく凪の家に遊びに来るのだ。

「悠がいつまで経っても働かないのに私もガッカリです」
「妹に初めてそんなこと言われたよ!ガッカリオブザイヤーだよ!」
「何か受賞した!?」
それに1年は始まったばかりである。

「まったく、変な言葉ばっかり覚えないで働いてよね」
「ところで最近知ったのだが」
「話聞け」
「ニートという言葉は響きだけなら高貴漂っているらしい!」
「だからって世間がアンタを見る目が変わるってワケじゃないからね!?」
「なんだってぇ――――!」
「認めて欲しいなら結果を見せなさいっ!」
とてもではないが高校生の言う事ではない言葉を投げかけ焼いたばかりのトーストを悠の前に置く。
しかし悠はどこか気に入らなかったのか口を尖らせた。
「……おもちがいい」
「働かない人に拒否権はありません」
「失敬な、俺だってちゃんと働いている」
言うや否やコタツから出る悠。
「何?ネット界の英雄とかやめてよ?恥ずかしいから」
「フッ、ネットの英雄<YOU>はもう死んだっ!」
凪の嫌味に気づかず悠は1世代前のポーズをとる。
ちなみにYOUとは昔ネットで有名になっていた頃の名前だ。
「これからは自宅警備員<YOU>の時代だ!」
「黙れニート!」
そもそも自宅離れてる時点で自宅警備員失格だと思う。
悠のニートぶりにはほとほと呆れるばかりだ。

「朝ごはん食べ終わったら大掃除するから手伝ってよね」
ため息をつき食器を片付ける。
「えー、メンドイ」
「3階の掃除やらせるよ?」
「よし、1回と2階は任せろ」
凪の言葉に悠はトーストを平らげると急いで掃除の支度を始める。
その背中からは面倒なものを避けようという意思がひしひしと感じられる。

こうなることはもう予測できていたがおそらく1年のうち最も精神的にも肉体的にも過酷な仕事が待っているのだと思うと先ほどとは違う意味で心がブルーになった。
「やるしか、ないよね…」
最大の難関が、今、目の前に広がっている。

掃除を開始してどれくらい時間が経っただろうか。
凪はダンボールと埃の山と格闘を続けながらふと思った。
2・3時間は経ったように思えるが物置の内部はさほど片付いていなかった。
「…汚いなぁ…」
一向に綺麗にならないこの魔窟に嫌気が差す。

凪の知りうる限りこの魔窟には誰も近づかなかった筈だ。
ダンボールの中身に10年以上前の本があることから分かるように長い間放置されていた空間の汚れは強烈である。
それをたった1日で清掃するというのは初めから無理な話だったのかもしれない。
塵も積もればなんとやら。
毎回こまめに何かを続けることの大切さを改めて知る。
「……はぁ…」
思考しながらのカビ取りにも飽きたので外の空気を吸いに魔窟から出ようとする。
「…うわっ」
足元にさっきどかしたダンボールが当たりバランスを崩し壁にもたれ掛かると後頭部に何か固いものが当たった。
同時に魔窟の中身がライトアップされる。

「おぉっ」
日当たりが悪くて常時薄暗い魔窟の全貌に凪は驚嘆した。
というか魔窟は普通の部屋だった。
少しほかの部屋より大きいくてカビやら埃やらが溜まっている意外別に何の変哲の無い部屋だったがもっと不恰好な部屋だと思っていた凪はイメージとの違いに驚くしかなかった。

「おーい、メシまだかー?」
部屋に見とれていると下から悠の声が響いてくる。
返事をしようとするとある1つの箱が目に留まった。
その箱はプラスチック製で青い蓋をしていた。

青、と1口で表しているがそれはとても綺麗な青であると同時にとても心惹かれる青だった。
好奇心が抑えきれなくなりその箱を部屋の中央に引っ張り出す。
その少し大きめな箱は意外と重くまるで中に人が入っているようだった。
箱の側面には黒く何かが書かれていたようだが誰かが意図的にやったのかぼかされていて読めない。
下から悠の声がまた聞こえるが凪は気にもとめずに箱を開けた。

その箱の中身に凪はただ驚きでうわずんだ声で悠を呼ぶことしかできなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

日向さん家のボーカロイド[始まりは物置から] 2話

こんにちは、あかちゅきです。
ずっと前から温めてた物語を投稿できて満足!ほくほくです~♪
小説とか書いたことないので出だしとか「ツマンネ」の一言に尽きます(汗
自分の文章力の無さにガッカリだっ!!(泣

本作品はオリジ&亜種が5・6割、歌からとってきたキャラが2・3割で
正規は1・2割しかないじゃんっ!な感じです
…ほら、気に入ったキャラとか出してみたいじゃないですか!
自重はしませんよ!(ちょ

投稿は今みたいに間髪いれずに連続投稿したり凄い間あけて投稿したりとまちまちですね。
学生は忙しいのです。(あ、隠さず言ったよ…

こんな私の拙い文章ですが、楽しんでくれたら幸いです。
どうか完結まで付き合ってくださいっ!

では

閲覧数:123

投稿日:2009/10/27 17:13:04

文字数:1,908文字

カテゴリ:小説

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