切り過ぎた前髪が気になる昼下がり
何食わぬ顔で小さな後悔を潜める
回り道の途中、足がちょっと痛んで
焦れったいなってぽつり漏らす
ロングスカートに掠る手の甲を軽く揺らした
ポケットの中のカイロが移す熱が
少しだけ邪魔をしている空風の道
絡めた指先で合図を送って
ただ最高の角度を探す
電池切れ寸前のカメラ越しに
また何回も視線交わした
慣れないポーズで気取って 控えめに笑顔を作って
瞬きを我慢して 「まだかなぁ」なんて笑った
右肩に軽く伝わる体温にずっと
震えているその理由を隠したまま
三秒間だけ焦らした 隙間に混じった呼吸から
もどかしく聴こえている 「もう春が来たんだね」って
指先で乱れてしまった髪に触れる
そのシャッターを切ったらもう…
この街も風景もお店も誰かのことも
知りすぎてしまったと誇らしく思える
頭の隅っこでカウントを取って
ただ絶好のタイミングを計る
出ない声で躊躇う指に
また何回もエールを送った
半分ジョークで綴った 隙間に混じった呼吸から
もどかしく聴こえている 「もう春が来たんだね」って
左手の袖でさりげに前髪を隠す
温かいこの景色が滲んでいる
慣れないポーズで気取って 控えめに笑顔を作って
瞬きを我慢して 「嫌だなぁ」なんて笑った
右頬にそっと伝わる涙拭う
そのシャッターを切ったらもう…
振り返るこの街は今、彩り始めている
ポケットの中のカイロが移す熱が
少しだけ邪魔をしている空風の道
一度だけシャッターを切る
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