1.

薄くらい溶剤臭い部屋　電気スタンドの明かりのなか浮ぶ女体

磨けど磨けど決まらない　ナイスバディになってくれない。

苦心の末に出来たキャラ、きっと売れると勤しんで　いざＷＦ

隣のブースも同じキャラ、何故か自分の作った物に　急に自信を無くしつつ

客で賑う隣のブース　横目にため息付きながら。

「ついてないよ」と独り言　そして言い訳考える

「どうせ趣味だから、忙しかったから」
そして段々虚しくなった「俺はまだヘタクソなんだ」

そして現実を受け入れる

わたしゃしがない原型師
始めたばかりの原型師。

2.
肩を落として帰り際　振り返ると夕日にそびえるビックサイト。

「来年も来るよ、あっと驚く造形で」リベンジを誓う。

パテを盛ったり削ったり、粘土焼いたり削ったり　色々試す

上手くならないのは素材のせいだと　言い訳さえももどかしく　俺に才能あるわけ無いさ

赤字続きのイベントも　いつか売れると信じつつ　懲りずに毎回出てるけど　

諦め切れないしつこさが　俺の取り得だ文句があるか

彼女も作らず頑張ってます　毎日美少女磨いています。

わたしゃしがない原型師

3.
始めて売れた悦びと　写真を撮られた照れくささ

小さく載った雑誌を買占め　一人優越感に浸るとき

「続けてて良かった」としみじみ思う。

わたしゃしがない原型師

わたしゃしがない原型師。


憬れのキャラを独り占め　憬れのキャラが出来た時　至高と歓喜に身震いし　ベストアングルブログに更新「完成しました！」

普段は回らぬカウンター　
イベント前だけ加速する。

期待ばかりはふくらめど　明日は現実を思い知る。

打ちのめされたWf　夕日にそびえるビックサイトにリベンジを誓う


わた者しがない原型師