※注意※

 この小説には、ボカロ以外のキャラクターも出てきます。
 オリジナルキャラクターに嫌悪を抱かれる方は読まないことをおすすめします。

 それでもおk! って方は↓↓どうぞ!






 
 彼女は、いつも笑っていた。
 彼女の目には、光なんてないのに。
 光なんて、映らないのに。
 それでも彼女は、僕にほほえみかける。
「ねえねえ! 星ってきれいなんでしょ!? 見てみたいなあ!」
「星? ……そうだ、僕いいところ知ってるよ!」
 思わず立ち上がって椅子をひっくり返した僕を、彼女は目を瞬かせながら見つめていた。
 僕の姿なんて、見えないのに。





 吐いた白い息が、夜空に吸い込まれていく。
 手袋をした両手をこすり合わせながら、僕はその様子をぼんやりと眺めていた。
 街は夜だというのに、おもちゃ箱をひっくり返したように明るかった。トナカイやサンタクロース、クリスマスツリーなどを形作ったイルミネーションの数々である。デパートや木はもちろん、一軒家にまでその魔の手は伸びていた。夜道を照らすという意味では、迷惑というわけではないけれども。
 しかしまあ、省エネを叫んでいる世の中だというのに、これでは地球温暖化に貢献さえしてるんじゃないかと思う。人類は本当に温暖化を止めようとしてるんだろうか。年末大安売りののぼりを横目に、僕はため息をついた。
 ここまででわかると思うが、今日は十二月二十四日。世間一般にはクリスマスイブとして知られている日だ。
 僕はこの日が嫌いだった。高二にもなると、いわゆるリア充というものがクラスの半分くらいを占めており、場所を構わずにクリスマスどうする? などと話しているもんだから、苛立ちは募る一方だ。しかも今日を迎えてみれば、学校以外の場所でも男女が二人でいちゃいちゃいちゃいちゃ……彼女なんていなければ好きになった女の子もいないが、そういう関係に憧れる僕にとってはどこを見ればいいんだかわかったもんじゃない。ほら、いまも横をカップルが通り過ぎて行った。
「――とかいうわけでは、別にないんだけどね……」
 雰囲気を出すために言ってみた。ああいう挿入の小説多いよね。
 クリスマスは嫌いじゃ――いやむしろ好きです。ケーキとか食べられるしね。あと、カップルもここまでくるともういっそのことほほえましい。仕方ないから呪ってやる! あれ、なんか違う。
 冗談はさておき。
 しかしまあ、これだけ街が明るいと、星なんて見えないなあ。どこかにいい天体ポイントはないんだろうか――なんて、こんな都会じゃ無理な話か。ちょっと自嘲気味に笑ったら、通りすがりの子供に白い目を向けられた。なんだ、世の中の子供は冷たいなあ。これだったら無視のほうがまだましな気がする。
「……ん?」
 ふいに、ポケットが振動した。携帯のバイブだ。取り出して画面を確認したら、母親からのメールだった。
『明後日から一週間おばあちゃんの家行くんだから、明日病院に顔出しなさいよ』
 ああ、そうだった。明日会わなきゃ、次にあいつに会えるのはしばらく先になってしまう。すっかり忘れていた。危ない危ない。いまのうちにアラームの時刻を設定しておこう。
 僕の母さんは、夜から早朝にかけて営業しているバーの店長をやっている。開店してから数時間たったいまの時間帯は、ちょうど忙しいころである。それなのに、わざわざメールしてくれたのか。ありがとう母さん。僕の早寝遅起き体質をよく理解していらっしゃる。
 僕の夜の予定は、飯→散歩→帰った瞬間に風呂→出た瞬間に就寝なので、散歩が終わると携帯は放置される運命にある。いまを逃せば、次に僕が携帯を開くのは翌日の昼過ぎだ。病院にいられるのは四時までだし、すごく焦ることになっただろう。本当に感謝しなきゃなあ。『忘れてた、ありがとう^^』と返信をして、ふと空を仰いだ。ちいさいけれど、街の明かりに消されそうになりながらも、確かに瞬いている星が目に入った。
 まるであいつのようだと思った。
 ちいさな身体で、闇という恐怖に負けそうになりながらも、確かに生きている少女。
 弱いのに、弱いはずなのに、とても強い少女。
 僕はあんなふうに、なりたかった。
 だれかのひかりになれる存在に。 
 昔から、ずうっと。
 お前のおかげで、僕は――
「……なんて、ね」
 薄く笑って、空に手を伸ばしてみた。いまなら、星さえ掴める気がした。
「うわ、あの人なにやってるんだろ……」
「見ないでやろうぜ」
「…………」
 公共の場でこういうことをやるのはやめようと心に誓った。



 つづく


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

盲目の宇宙飛行士―小説01―

はい、というわけで。

黒髪ストロングPの盲目の宇宙飛行士を、小説で書こうとしてみました。いやしています。現在進行形です。途中です。
この曲が好き過ぎてもうどうしようもないです。気がついたら書き始めてました。

ていうか、ボカロでてきてなくてすいませんほんとすいません。主人公はカイトじゃないです。オリジナルです。
で、でも! 次回はきっと出てきますいや出しますので今回は勘弁してください!

まあ読んでくださっている方がいるのかは疑問ですが、いるのだとしたらありがとうございます! ぜひぜひ、次回も読んでやってください!

書き次第うpしていく予定ですー。
次回、【どきっ☆ 僕とあいつの星間飛行!】お見逃しなく!
※タイトルと内容は、予告なく変わる場合があります。ご注意ください※

閲覧数:95

投稿日:2011/03/15 00:11:34

文字数:1,918文字

カテゴリ:小説

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