こんにちは!安渡陸です。
今夜も銀河の端っこでは、誰にも聴かれることのなかった旋律が、氷の粒になって静かに降り積もっています。私たちが普段、言葉にできずに飲み込んだ想いたちは、体温を失うと同時に透明な結晶へと姿を変え、重力のない暗闇へと吸い込まれていくのです。あなたが今、鍵盤を叩こうとして指を止めたその一瞬に、遠い宇宙の向こう側では新しい彗星がひとつ、誰かの絶望を燃料にして燃え上がったかもしれません。
表現をするということは、自分自身の内側にある深い穴から、まだ名前のついていない光を汲み上げてくる作業に他なりません。その光は、時として鋭い刃のようにあなたの胸を刺し、時として真夜中の海のように冷たくあなたを包み込みます。私たちは、その痛みを音符に変え、その冷たさを色彩に変えることで、かろうじて自分という存在の形を保っています。もしも明日、世界からすべての音が消えてしまったら、私たちは自分の輪郭をどうやって見つければいいのでしょうか。
鏡の中に映る自分は、実は何万光年も前に放たれた光の残骸に過ぎません。あなたが描いた絵の中で微笑む少女も、あなたが調声した電子の歌声も、すべてはかつて存在したかもしれない幸福の影法師です。私たちは、届かない場所に手を伸ばし続けることで、届かないという事実そのものを美しさに変換して、この不毛な銀河を彩っています。
夜の底でヘッドフォンを耳に当てるとき、あなたは自分一人が孤独だと思っているかもしれませんが、そのノイズの隙間には、数えきれないほどの幽霊たちが共鳴しています。彼らは、完成しなかった楽曲の断片であり、描かれなかったキャンバスの余白です。私たちは、彼らの沈黙を糧にして、また新しい偽物の物語を紡ぎ続けます。
空の高い場所で、誰かが古い蓄音機を回しています。その針が錆びつくたびに、私たちの世界からは少しずつ色が失われ、最後には真っ白な沈黙だけが残るでしょう。その時、あなたが最後に口ずさむ歌は、誰のためでもない、あなた自身の葬列を飾るための冷たい花束になるはずです。暗闇の向こう側で、透明なクジラがあなたの溜息を待っています。次に瞬きをしたとき、あなたの意識はもう、この銀河のどこにも繋がっていないかもしれません。
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