「ノイズ」
無音の筈の部屋、布団の中。左に目をやるとうっすら光るデジタル時計、23:56。
隣の部屋から番組のEDらしき音と「また来週」の声。続くタイミングの出来過ぎた拍手。
耳障りだが、騒音と呼べる程のデシベルではなく、抗議する気持ちもなく、ただ
「……」
というホワイトノイズのような気持ちが流れている。
微々たるものだがノイズには違いなく、瞼がなかなか閉じきれずにいた。
気がつけばアラームにたたき起こされそうな、どこかで物が落ちれば完全に目が醒めてしまいそうな…
何でもない一日。意味の無い時は無いのだと聞いたけれど、本当にすり抜けるような一日だったと認識している。
すり抜けるような一日は今日に限った事ではなく、ここのところ続くぼんやり暖かい日々の様だから、困る。
焦りは、とうに過ぎてしまったが、残骸はまだ頭の片隅に捨てられずに在る。
消失さえしない、この代わり映えのしない感情の起伏。
「…ツマンネ…」
寝返り際に出た音は、晴れやかな朝日を切望する祈りのようにも聞こえる。
『…午前、0時くらいを、お知らせします…』
隣の部屋から聞こえる、ノイズ。
【超短編】ノイズ【小説】
たった数分間の物語。
何でもない何かがあればいいと思う。
言葉にするのなら唯一の台詞「ツマンネ」
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