【A】
薄暗い小さな箱に 埃塗れの少女が一人
読み返して擦れた 絵本を破り捨てた
鮮やかなドレスに 華やかな舞台に 憧れたけれど
手の中にあるのは いつもカボチャ(ニセモノ)だけ

【B】
とある満月の夜にふらり 窓から差す誰かの影
「さぁお姫様、特別な魔法かけてあげるよ」
手繰り寄せて 引き寄せて あなたにつく姑息なウソ

【S】
ガラスの靴はいらないの あなたの呪文で黒く汚してよ
半端に意固地に咲く 名も無き素知らぬ花
私ずっと夢にみていたわ “いつか優しい白馬の王子様が――”
って、灰色がお似合いの私には 到底無理なお話




【A】
私の隣の彼に そっと小さく寄せた大きな愛
“幸せの意味ってこういうことかしら?”
彼の笑顔の輝きも 彼が囁く「好きだよ」も
目の奥にあるのは いつもホンモノだけ

【B】
だけど悪魔は嘲笑う それはまるで媚薬のように
“やめなさい、彼を夢(ホンネ)で包むなんてことは”
分からない 分かりたくない 自分につく姑息なウソなんて




【C】
今宵魔法で全てを忘れ 彼は幸せになるのでしょう
富も名声もいらない 当て馬への称賛もいらない
だけど 一つだけ我儘言わせて――

【S】
背伸びして触れて背を向け 彼に「さよなら」言って駆け出した
枯れても尚凜と佇む 愛という名のダリア(黒蝶)
清らかで嫋やかな 彼の白い手袋が私に――

「やめて!」
“抱きしめて!”

私ずっと夢にみていたわ “いつか優しい白馬の王子様が――”
って、灰色すらも捨てた私には 到底無理なお話




《補足》
ところどころにある()は、読み方を表しています。
例:本気(マジ)→テロップは「本気」だが「マジ」と歌う

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい
  • オリジナルライセンス

Black & White

シンデレラをモチーフにしました。
もし別の魔法をかけて貰っていたら、現代でもてはやされるハッピーエンドにはならなかっただろう、と思い制作しました。

どこまでも清い王子に恋し恋される黒いシンデレラ。
彼らの結末は……?

閲覧数:39

投稿日:2020/04/26 00:08:52

文字数:722文字

カテゴリ:歌詞

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