ビギニング
小指の先まで怠い朝
怒ったような声で鳴く野良猫
僕は目を閉じて息を止め
数を数えてみたんだよ
仮想世界で羊の障害物競走
1匹目が柵を飛び越えると
2匹目の背中には羽
3匹目は柵を壊して進む
馬鹿らしくなって目を開ければ
まだ薄青い空に透けて消えそうな月が
下向きに浮かんでいた
寝ぼけた世界に向けてそっと呟いた
ねぇ 僕の人生はこんなもんか?
「そんなもんさ」
さっきまでの夢の残滓が
染み付いた脳を反対に倒す
午前5時の鐘が鳴って
どうしたって僕はやっぱりこんなもんだ
じゃあ君はどうだ? きっと眠り姫
どんな幸せな夢を見てる
じゃあ僕はどうだ? あと2時間で
無感情な電車が僕を連れて行く
ねえ今すぐ 僕の世界に舞い降りて
なんてことない声を聴かせてくれ
目覚めた世界に向けてそっと呟いた
ねぇ僕の人生は幸せか?
「皆 そんなもんさ」
さっきまでの夢の欠片を
無造作に握りつぶした
さぁ今日も生きようか あと1時間で
錆びたモーターが僕を連れて行く
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