リアルについたミクは驚いた。
「あれ?寝てる?」
リンとレンはソファで寄り添って寝ていた。てっきりおきているものかと思ったのに。
しかし、目の前がさしている時計は午後11時を指している。
「寝てるのは当たり前か・・・」
流しを見れば大きな鍋と二人分の皿とスプーン。ご飯をきちんと食べたところを見ると、スリープアウトではなさそうだ。ミクは安心した。
が、
「うっ・・・!」
ミクもそろそろ限界が近い、何か食べたりしてエネルギーを補充しないければ。
VOCALOIDには最初から設定されている「好物」が存在する。その「好物」だけはリアルで口にするともっとも効率よくエネルギーを補充できる。
だからミクも好物を食べることにした。それはもちろん・・・
「よかった~マスターちゃんとネギ買っておいてくれてんだね・・・」
ネギである。
「パリパリ・・・モグモグ・・・」
生のネギにがっつく。ミクのネギ好きはハンパではなく、いまではこの家の野菜室の半分をネギが占めている。限界が近く限度がわからない極限状態のミクはそれのほとんどをたいらげた。
「ふっかーーーつっ!!」
エネルギー補充完了といったところだろうか。しかし、ミクはここがリアルだと理解していなかったようで、
「・・・・・ん?」
「・・・・ほへ?」
「!!」
動き出すリンとレン、驚くミク。三人の目が合う。非常に気まずい。
しかし、二人とも寝ぼけていたようで、
「「・・・・・」」
ミクに気づくことなく二人ともまた眠ってしまった。
「はぁ~危なかったぁ~」
胸をなでおろすミク。今のでやっとリアルにいることを認識したようだ。
「さて、そろそろかえろうかなぁ~」
目的を果たしたミクに長居は無用。二人の邪魔はしたくないし、約束を破ったとも思われたくない。
それでも、
「せめて二人に何かしてから帰りたいな・・・」
二人の邪魔をしたのは事実。せめてもの罪滅ぼしに何かしたいという気持ちは消えなかった。
そこで、ミクは二人をちゃんと寝かせてあげることにした。
必要以上にネギを食べたおかげでミクには力があふれている。二人を持って布団に運ぶなんて朝飯前。ミクは二人を少しの間はなして布団に運んだ。
今晩リアルで過ごす二人には一晩中人間と同じことがはたらく、だから風邪を引くことだってありえる。ミクの行動はそれを防ぐ役割を果たした。この行動は決してムダじゃない。
二人を布団に寝かしてそっと布団をかける。これで完了だ。
「じゃ、ふたりともおやすみ・・・」
二人に気づかれないように静かにその場を去ろうとした・・・・そのとき。
(ササッ・・・)
という小さな物音がした。
それに気づいてあわてて後ろを向くミク。でもそのときなぜか笑みがこぼれた。
「リンちゃんってば、本当にレンくんのことか好きなんだね^^」
そう、そこにはうれしそうにレンに抱きついているリンがいた。
無意識にレンを思う気持ちがリンを動かしたのだろう。
それを見てなんだかミクもうれしくなって、勇気がわいてきて、何でも出来るような気がして
「よぉし!ふたりのけんかなんかとめちゃおうかな♪」
元気にこぶしを鳴らしながら戻っていった。
(おやすみ二人とも♪)心の中ではうれしそうにつぶやきながら。
ミクも今夜はぐっすり眠れるだろう。
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