夢を見たいの と
アンドロイドは笑う
①
流れる景色は 黒に溶けて 碧の地平は 遠のいていく
コロニーは震えて軌道をずらした そこには一人の 少女が残された
離れ行く地球を横目に その少女は
オペレーションの手を止める事をしない
救難者は 全て無事という知らせに笑顔をつくる 刹那
予測航路を告げる自動音声が 少女の髪を揺らす
②
コロニーのエネルギー 既に尽きて 慣性で進み
そのモーメントは 太陽の重力に曳かれはじめ
急に速度を上げ始めていた
終末の刻は近い
コロニーは 既に崩壊の模様を描き始めてた
少女の表面は 剥き出しの姿に 朽ち始めてた
そして 太陽を見つめおもう
わたしは あの星の光に混ざるの
③
少女は最後に 美しい惑星を見たいと 手を伸ばす だけど
その瞳には 既に もう光は亡く 細い手は空を切る…
すべては見えず
少女は目を閉じ
寂しそうに 微笑んだ
※読み
刻(トキ)
惑星(イロ)
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