雨の江戸の 夜気にも賑わう
花園の中 ひらひらと
蝶を気取る あなた様へ
目配せ一つ 「いらっしゃいまし」
夜を数え、姿を願い、
艶やかに今 咲き誇る
心を満たす 唯一の魔法
あなたの声と その体温
「千夜(ちよ)も八千夜(やちよ)も変わりはしなんせん。
主(ぬし)の居る一夜(ひとよ)こそ、
わっちの宝でありんす」
恋をしましょう
理屈など 浮世にでも忘れておいでませ
ひと時の夢、共に見る
想いの無い言葉は要りませぬ
今宵は一体どのように 玉響(たまゆら)を遊んで参りましょう?
雨を望む椿
露に潤い、笑う
川を埋める 黒い花々
此処で生きる 花の最期よ
“捨てられねど、貫くも無理”
…行先(ゆくさき)知れど、
抱(いだ)く徒花(あだばな)
「…愛(いと)し方の為なれば、それも本望。
嵐に散らす 花もありんす」
恋をしましょう
心から わたしに溺れ切ってしまいませ
離れていては呼吸すら ままならぬほど
吐息絡めて
あなたは 浮世を生きる方
なれば一つだけ、おまじないを。
“雨を纏う蝶よ、
あなたの香りは 椿(わたし)”
風よ 雲を連れて
月を隠し給え
「蝶は、月影(げつえい)には舞いんせん」
あなたを恋しく想って、
流す涙では いけませぬか…?
雨が降らねば、訪れぬ
あなたに知らせる 術(すべ)無くとも
今宵は一体どのように 玉響(たまゆら)を遊んで参りましょう?
心を売るわたしは遊女
恋を買うあなたの 徒花(いたずらばな)
本気の恋を捧げましょう
誇る想い、喜びそのままに
心 願うは雨
椿、水面(みなも)に咲(わら)う
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