ネクロトーシス　BPM187

白い部屋に閉ざされた君は
息を引き取ったかのように眠っていた。
薄い瞼に隠された黄色い瞳を
私は心底好いてしまっていた。

そんなこの気持ちさえも
いつかは無に還るなら
「愛してやまない」
と伝えてもしょうがないだろう

三千年の時を超えた大発見も
今となりゃ意味すら無いならどうだろう？
白い部屋で答えを探して

餞に泣いた君は何を考えているのでしょう
いつか手放してしまう記憶を模している
神頼みで良いならばそれは
そこまで大切じゃないんでしょう
腹の底見えきった邪念と成っていく
嗚呼

忘れないで欲しいと頼まれた私は
それが何を意味するのか解らなかった。
何度質問しても答えることは無く
君は必死に笑顔を作っていた。

先天性異常の最中、体さえ君を無視する
喧騒に殴られて嘆いても
その事実は変わらぬまま

生命線を断ち切られた花束さえも
死して尚愛されてるのは何故だろう
私を刺し殺した君の目

雛芥子が咲いた此処は
いずれ枯れ果てて行くのでしょう
痛みすら溶け込んで自由と化していく

頭から落っこちた君は人の形なんかしてないよ
知らぬ間に砕かれた頭蓋が呻いている
蘭塔場に咲いた君は最期に何を願うのでしょう
散る花を追いかけて手を伸ばしている
嗚呼

散らばってしまったその残骸を
少しずつ丁寧に拾い上げた。
赤血で染められた雛芥子が
今も脳裏にこびり付いて離れない。