――ほら、そんな無愛想な顔してると友達減っちゃいますよ?
イライラしてる時、すぐに駆け付けてくれたのは……REITOだった。
――大丈夫ですよ、シキ兄様。貴方は強いです、あんな人達の言う事は信じないで下さい!
弱ってる俺を支えてくれたのもREITO。
――マスターは貴方を一番に思っています、だから正気に戻って下さい!
俺の精神状態が不安定になって暴れだした時、逃げずに正面からぶつかってくれたのも……
「……ろ。…起きろシキ、客人だ」
ロウは俺が起きたのを確認するとすぐに何処かへと消えてしまう。
…本当、自由人だよな…ロウは
「よ、シキ。遊びに来たぜ!」
「キラ!?うっわ、久しぶりというか何というか」
「何かREITOが壊れたって聞いたからさ、様子を見に」
「ん、有難う。でもさ、まだ何も手がかり掴めてない状態だから……」
「そっか、でも諦めなければ絶対に直るよ」
キラが俺の目を真っ直ぐに見据えて力強く言う。
諦めなければ……か、そんな事は分かってる、けど…もうどうしようも無いんだ。
「あ、また諦めたような顔した」
…何で俺の考えてる事が分かったんだ、キラは。
「あーもう!そんなに落ち込んでたらREITOが悲しむだろ?よし、気分転換だ気分転換。歌うぞ!」
キラは早口でまくしたてると、俺の腕を引き家を飛び出す。
途中、買出しから戻ってきたディス兄とタイルを見つけ、その二人も巻き添えになった。
* * *
「嘘みたいな陽炎がー、嘘じゃないぞって嗤ってる!」
ディス兄はマイク片手に熱唱。
もともと高音は得意な方では無いから、1オクターブ下げて。
何だか上手すぎて声が出ない。
「ほら、元気出そうぜ。シキが暗いまんまだとさーREITOも安心出来ないだろ」
「でもさ、REITOがあんな状態なのに楽しめって方が無理なんだけど」
「分かってないなー、REITOが目覚ました時にシキが暗いと、自分のせい?ってなるだろ」
それだけ言うとキラはタンバリンで周りを盛り上げる。
ディス兄が歌い終わるとタイルは、まだまだだね。とテニス漫画の主人公の真似をしながら言う。
なるほど、次はタイルの番か。
タイルの入れた曲はアニメの曲らしく、俺の方を見て口パクで何かを言っていた。
…げんきをだして、か。
ニコっと微笑んだかと思うと、いきなりキリッとした顔つきになった。声真似をする気らしい。
曲のタイトルが画面に現れ、歌いだすタイル。歌唱力はもちろん、声もいつもと一遍、本物の男みたいな声になる。
そして曲のサビに差し掛かった所で画面から目を離し、俺たちの方を向いて歌う。
「もう泣かなくて良いよ、そのままで良い君を守らせて欲しいんだ……」
歌い終わるとタイルは「いっやー、ビブラートが難しいね!もっと練習だねー」と言ってマイクを俺の方へ投げる。
「次、シキの番。私が勝手にいれといたよー」
「は、ちょ……何を勝手に」
俺が言い返そうとした瞬間に曲のイントロが流れ始める。
…この曲はREITOの好きな曲、だ。
「……声を枯らして叫んだ反響、残響、虚しく響く」
* * *
「今日は有難う、キラ」
「んーどういたしまして。やっぱ元気にしてないと駄目だって……REITOの為に、な!」
-----シキの一週間-----
(だよな、落ち込んでるだけじゃ駄目なんだ)
(前に……進まないと)
殺音シキの一週間@火曜日【亜種小説】
1話目はこちら→http://piapro.jp/t/dO2Y
更新が半年くらいぶりになりました、ナヅキです。
今回はシキを慰めてくれる人、をテーマにしました。
枯葉さん家のキラ君をゲストにお招きしました、借りても良いみたいだったので、もうお借りしちゃいました!
1話でお借りしても良いと言って下さった方の亜種は出来れば皆、出したいと思ってます。
とにかく更新は遅いですが暖かい目で見守ってくださると幸いです。
あとはリクエストやら四字熟語やらを地道に進めていきたいです。
コメント1
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ご意見・ご感想
枯葉
ご意見・ご感想
今回も楽しませていただきました!さすがナヅキさん。キラも出していただいて、とても嬉しかったです、ありがとうございました!次回楽しみにしています!
2012/03/25 16:50:40
ナヅキ
どの子をお借りするか、すごく悩んだんですが。
やはりキラ君かなーと思い、キラ君を選ばせて頂きました!
キラ君は書いててすごく楽しかったです。
3話目も、読んでくださりありがとうございました(´ω`)
2012/08/25 13:17:21