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 『名言』と呼ばれる言葉がある。
 偉人の優れた考えや視点がこめられた言葉のことで、それらは人々に新たな知識や視点を与え、時に道を示し、奮い立たせ、あるいは慰める。と、そういうことらしい。
 しかし、所詮それは成功者の言葉。ただの強者の考えにすぎないと、悲観視する者は少なからずいるわけで。なんて、ただの負け惜しみじゃないかと私は思うのだが。
 でもまぁ実際、誰かの名言なんてものに頼って、或いはそれに縛られて生きてるやつがいるとしたら、きっと私自身そいつを好きにはなれないだろう。

 言葉とは偉大なもので、それが人に与える影響力はとても大きい。それは言葉が、古代より私たち人間が編み出した唯一無二の確かなコミュニケーション方法だからだ。
 言霊というものがあるが、強ちそんなものもありえるのかもしれない。
 
 時には人を傷付ける刃にもなるし、時には人を慰める優しさにもなる。
 時には人を動かす力にもなるし、時には人を欺く術にもなる。
 優しくて、感情的で、無力で、そして卑劣だ……


 私もここに名言を一つ残してみよう。
 誰に届くかも知れない小さな言葉を。
 私の精一杯の可能性を。
 こんなものには意味なんてないかもしれない。
 もしかすると誰も目にすることはないかもしれない。
 それでも私は、誰に何と言われようとも、言葉の力を信じている。
 人を前に進めてくれる、その力を

 それではここに記そう。

 『今を生きることの悲しみを、あなたは知っていますか?』と
 

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閲覧数:37

投稿日:2014/05/08 19:24:04

文字数:653文字

カテゴリ:小説

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