「あれ?この匂い・・・」
部屋に入ってきて、まず呟いた俺の言葉に、
「遅かったな、アカイト」
バンが出迎えて、丸いもち(?)みたいなものを載せた皿を俺に手渡す。
「これは・・・大福?一体、誰が・・・」
「私とルワくんが、持ってきたんですよ」
俺の当然といえば当然の疑問に、モコが答える。
「へぇ、モコとルワくんか・・・いただきます」
俺は呟いて、ぱくんと一口食べる。
「うおっ、あんこともちの絶妙な絡み具合!!・・・っていうか、俺、あんま甘いもの無理なんだけど、でもこれならいける!どこまでもいけるぜ!!」
「和菓子って、結構甘いもの苦手な人でも食べれちゃうんですよね。・・・なぜだと思いますか?」
俺の絶賛言葉を聞いて、ジミが言った。
「え・・・、なんでだろう、にゃーさん」
俺はなぜか、にゃーさんに意見を求めてしまった。
「それは・・・」
だんごをミナにゃーに食べさせていたにゃーさんは考え込み、
「甘さ控えめだからじゃないのか?」
「わんわんおー」
にゃーさんの言葉に同調するように、ミナにゃーが言・・・鳴いた。
「・・・ちがうよ」
一部始終を見守っていたレトは、可愛らしく首を横に振る。
「・・・和菓子って、昔からなじみ深い素材・・・食べ物を使ってるから、甘いけど色んな人が食べられるんだよ。・・・甘いのが苦手な人でも、ね」
「きゃーん!レトくんが長文しゃべったー!「「きゃわいーいー!!」」
レトの言葉に、フワとムウがはしゃぐ。
「レトくんの言う通りです!・・・レトくん、よく言い切りましたね」
ジミも、レトに、にっこりと笑いかけて言った。
「・・・」
そんな光景を、ミドリは複雑そうな顔で眺める。
「これぞ、報われない恋よね!」
「ちょ、ナエル。それを言っちゃおしまいだわん」
すかさず言うナエルを、ワンは制止する。
「・・・いつかは報われるから、今は、我慢しとけ」
「・・・ダッツさん」
ミドリは驚いて、ダッツを見る。
「お兄ちゃん、たまにはいいこと言うんだね」
ピノは感動したように、嬉しそうに言う。
「な、なんだよ。言っちゃだめなのかよ?」
ダッツは、少し顔を赤くしながら、ぶっきらぼうに言う。
「ううん。すっごく嬉しい」
嬉しそうに笑みをこぼすピノに、
「・・・ピノ」
ダッツは一言、
「お前の分、もう食べちゃったからな」
「ええっ!?私、まだマンゴー味食べてないよぉ・・・」
ピノは、さっきとは全く反対の表情で、泣きそうに呟く。
「・・・ダッツさん。私、途中まで見直してましたが、やっぱりダッツさんはだめですね。妹に意地悪するなんて、そんなんじゃピノさんは私のものですよ」
マニが口元に大福の白い粉をつけたまま言った。
「・・・別に、今はこれがちょうどいいからな」
ダッツは、マニの言葉をさして気に留めずに言った。
「・・・・・素直になったらどうですか?少しは」
にゃーさんが、ぼそっと呟く。
「・・・お前に何が分かる。・・・躾だの何だの言うお前なんかに」
ダッツは、にゃーさんを軽く睨む。
「・・・言ったら、だめなのか?ダッツさん」
にゃーさんは、余裕盛りだくさんで言い返す。
「・・・・・・・」
ダッツは少し考え、
「・・・さあな」
と、言った。
「人の価値観なんて、色々あるからな。他人なんて、どうでもいい」
「ちょ、ちょっと、お兄ちゃん・・・!」
ピノは慌てたようにダッツを見る。
「俺は、・・・・」
そこで、ダッツは口を閉ざす。そして、ピノを見る。
「・・・ピノ。俺は、はっきり言ってひどい兄だ。そんなの、とっくに分かってる。だから、その・・・」
ピノの隣にいるマニに目線を移して、
「・・・その隣にいるゴスロリ少女と一緒に俺を責めるなら責めろよ」
ぶっきらぼうに言った。
「・・・・・・・お兄ちゃん」
ピノは悲しそうにダッツを見る。一方、マニは、
「え、責めていいんですか、なら責めますよ。・・・って、あれ・・・ピノさぁん・・・?」
目をキラリと光らせるも、横にいるピノを見て、瞳の眼光が元に戻ってしまった。
「お兄ちゃん、私、そんなにひどいとは思わないよ。だって・・・、お兄ちゃんは、世界でただ1人だけなんだもん!」
少しためらいつつも、しっかりと言うピノ。
「・・・ピノ」
そんな妹の成長に、ダッツは驚き目を丸くさせる。
「なーんか、妬いちゃうよねー・・・」
一部始終を見ていたナエルは、ため息をつく。
「さーさ、だんごもう1串いる?ミナにゃー」
同じく、ピノとダッツとマニのやり取りを見ていたにゃーさんは、何事も無かったかのようにミナにゃーにたずねる。
「いるー!ちょーだい、にゃーさん」
ミナにゃーは即答にて、嬉しそうににゃーさんの手から、だんごをもらう。
「・・・なんか、この部屋の空気が甘くなって、息苦しいよね・・・」
「わおん?・・・くーん」
切なそうに呟くナエルを放っておけないワンは、きょろきょろと辺りを見回して、
「うー、わんわん!!」
あるものを見つけて、それを1個取って来て、
「ナエル、これ食べるわん」
少しはにかみながら、ナエルに差し出す。
「これ・・・」
元気が無いままに、ナエルはワンから受け取ろうとする・・・のを、ワンは、さっとナエルの手の届かないところに逸らす。
「ワン・・・?」
ナエルは首を軽く傾げて、元気の無い瞳でワンを見つめる。
「ナエル・・・」
ワンは、ほっぺたを赤くして、
「・・・あーん、してわん」
「え?・・・えっと、あーん」
ワンの言った言葉の意味が分からなかったのか一瞬きょとんとしてから、言われた通り口を開ける。
「んぐ・・・・」
「どうわん?ブルーベリー味だわんよ」
もぐもぐと、ブルーベリー味の大福を食べているナエルに、ワンは感想を少なからず期待する。
「おいしい・・・よね!」
元気の無かった瞳に、再び元気が灯りだすナエル。
「ありがとうよね、ワン」
少し照れたように、ワンにお礼を言う。
「いいわん。ナエルが元気なら、私も元気だわんよ」
嬉しそうにしっぽを振るワン。
「・・・なんか、いいよな、みんな。おかげで部屋の雰囲気が甘ったるいぜ」
傍観者組になりかけていた俺は、傍らにいるバンを見る。
「私とアカイトだって、負けてないとは思うけどな?」
そう言って、不敵に笑むバン。
「そうだな。そう言ってくれると、なんか安心する」
「私にとっては、当然の理屈なんだが」
「・・・そうだな。そこまで断言してくれると、すっごい安心するよ。・・・今夜も、よく眠れそうだ」
「今夜は、寝させないつもりだったんだが・・・、言い間違い、だよな?アカイト」
「・・・えっ、と、・・・勘弁して下さい」
でも、そう言いながらも心の中では密かにそんなにいやじゃないなとかなんとか思う俺。・・・ミクに、どう顔向けしたらいいんだろうか?今度、今年の夏祭りどうするか聞いてみるか。
「どうです?おいしかったですか?」
色々と考えている俺のところへ、モコがとてとてとやって来て言った。
「え、モコは、もう少し熟させた方が「誰も私のこと言ってません。私とルワくんが持ってきた大福のことです!」
なんか、すっごい怒ったような目で俺を睨みつけるモコ。・・・あれ、モコのことじゃなかったのか。でも、俺の言ったこと、あながち、間違っては無いだろ?
「え、ああ・・・。大福って、今の世の中結構バリエーションあるんだな。ブルーベリーだのマンゴーだの、すごいな」
「ですよね。だから、和菓子だからって、暗いわけじゃないんですよ。今や和菓子は、洋菓子と同等に並ぶお菓子界の2大巨匠なんです」
そう言って、胸を張るモコなのだった。

・・・そんなモコって可愛いよなとか思う、この感情は何なのだろうか?

           一応、続く!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【番外編】 和菓子の代表は大福で決まり! 【亜種コラボ小説】

こんにちは、今日は土砂降りで学校が休校になって嬉しいような悲しいような複雑な気分のもごもご犬ですこんばんは!
あ・・・晴れてきてる。雲の合間の青空が懐かしいww

今回は、夏休み前ということで例の長編の地盤を固めようと和菓子というテーマの話を書きました!その中でも一番有名なのはやっぱり大福かなーと思ってタイトルにもそのようにしました!←
楽しんでもらえたら幸いです♪><

というか書いてて気になる亜種関係模様が何個かあるんですけど←
まず、ナエルちゃんとワンちゃん!なんか危ない関係へと変化しつつありますww どうしよう、健全な方向に修正した方がいいのかな?
次に、アカイトとモコちゃん!モコちゃんのツンデレ書いてて萌えてます(←)。なんか今後の展開が怪しくなりそう・・・。
他にも気になるのはありますが、今回はここまで!
次回以降、この関係がどう変化するのかお楽しみに!^^

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投稿日:2010/07/14 16:50:11

文字数:3,192文字

カテゴリ:小説

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