【ボカロ】がっくん、大いに悩む【愛の劇場】


 拙者はがくぽろいど、本名神威がくぽと申す。ボカロ家の隣に住んでおる。
最近はボカロ家の長男カイト殿と一緒にコラボすることも多く仕事も順調。
だが、拙者には目下のところ大きな悩みが・・・


「カイト殿!教えてくだされ!!!拙者、妹とどう接したらいいかわからないでござる!」

ボカロ一家の長男(?)カイトは親友のがくぽの突然の悩みに困惑していた。正直、妹達とどう接していいかこっちから聞きたいくらいだ。

「妹さんってグミちゃんだろ?僕には仲の良い兄妹にしかみえないけど・・・」

「そう見えるだけでござる!今朝も拙者が朝食の準備したら、二言三言話しただけで仕事に行ってしまったでござる。拙者何か悪いことをしたのでござるか・・・」

「ひょっとしてがっくん、グミちゃんのお風呂をのぞいたり、ベットの下に隠したエロスなD・V・D!や、雑誌を見つけられたりしたんじゃない?」

「そうそう!リンもマスターのコレクションをよく見つけるのー」

「メイコ殿もリン殿も、拙者はそんなはしたない真似はしないでござる!!!!」

がくぽの性格からしてそんなエロスなマネはしないだろう。とすれば・・・・

「直接本人から話を聞くしかないか」

「まずインタネ家・ボカロ家交流パーティーということで、グミちゃんを呼び出す。あとはボカロ家の誇る女傑・・げふんげふん、めーちゃんに探りを入れてもらう。そうすれば
同じ女性として警戒せずに本音を話してくれるって訳さ」

「さすがはカイト殿!間諜とは名案でござる!」

「そうときまったらパーティーの準備をしなきゃね!!パーティーといったらビールじゃなくてカクテルよね!」

「あのね、めーちゃん・・・未成年者も多いからアルコールは自重してね」

「わかっているわよカイト!ノンアルコールカクテルを用意するわよ」


~その夜~
「グミちゃんお仕事おつかれさま!今日はグミちゃんの歓迎会よ!グミちゃんもどんどん食べて飲んで行ってね!」

「はぁ・・・・」

めぐぽいど、本名グミは困惑していた。仕事を終え帰宅するとお隣さん家の黄色い双子に強引に引っ張られ、今わけもわからず謎の宴会に出席している。

まぁお兄ちゃんもいるし問題ないか・・・

グミはそう考えながら、運ばれてきた飲み物に口をつけた。

甘くて苦くて、マンゴーやパイナップルの風味が良いアクセントとなっていた。

「あの、おかわりいただけますか?」

「いいわよ」

グミがそうして杯を何杯も空にしている時だった。

「カイト殿!!飲み物に酒が混ざっているでござる!!」

「へ?そんなはずは・・・」

カイトが恐る恐る口をつけると・・・

「ブッヘッ!!!ちょっとめーちゃん!!アルコールはだめだっていったでしょ!」

「アルコールは入れてはないわよ!材料を準備してリンに作ってもらったけど・・・」

「ちょっとリン!レシピどおりに作った?」

「ふへぇ?シロップをリンが飲んで少なくなってきたんで戸棚にあったシロップを入れたのー」

「家にシロップって一本しかなかったんじゃあ・・・・もしかして!」

カイトが台所に向かうとそこには空になったウォッカの瓶が・・・・

「カイト殿~グミがうつむいてぶつぶつ言ってるでござる!」

「グミちゃんごめん!手違いでアルコールの入ったジュースを持ってきたみたいなんだ。」

「拙者ももっと早く気付いたら止めていたでござる。申し訳ないでござる」

「・・・・うるさい」

「へ?」

「うるさいんじゃー!!!!」

見るといつもの理知的な表情は消え、完全にグミの目が座っている。

「いつもいつもこっちの世話を焼いて・・・・わしは幼稚園児じゃないわーーーー!!!自分の世話くらいできるちゅーねん!」

あまりの迫力にめーちゃんも気押されている。

「ねぇ・・・カイ兄ちゃん・・・・グミさんってこんな人だったっけ?」

「もうちょっと落ち着いていたような・・・」

「おい!そこの青い変態と黄色いショタ!!!ゴチャゴチャ言っとったら鉄アレイ突っ込んでアへアへ言わすぞ!!!」

「ひぃぃぃぃぃ!」

「おいがくぽ!よく聞け」

「はい!」

グミががくぽの胸元を掴む。

「おめえ毎朝毎朝、朝食を作りやがって。いっつもいっつも完璧すぎんだよ!!!!掃除も完璧!料理も完璧!洗濯も完璧!。こっちは「料理してたら焦がしちゃったテヘッ」とか「砂糖と塩間違えちゃった」とかしたいって言うのに・・・」

みるといつの間にかグミは泣き出していた。

「グスッ・・・ウグゥ・・なんでもっと私を頼ってくれないの・・・・私はただの同居人じゃないのよ?たった一人の肉親なんだよ?お兄ちゃん!」

がくぽは大雨のように泣きじゃくるグミの背中をそっと抱きしめた。

「・・・すまんかった。お主の気持ちを分かったやれんで。拙者はお主が来るまで一人じゃった。だからお主が来てくれて嬉しかった。だから負担を掛けたくなかったでござる。」

「そんな気遣いが迷惑なんだよ!!」

「だから今度からはお主と一緒にやってゆこうと思う。これからはわしはお主を頼ることもあるじゃろう、お主もわしを頼ることもあるだろう。だが、二人で助け合っていこう妹よ!」

「お兄ちゃん!!!」

グミはがくぽを強く抱き締めた・・・強く・・・強く。


~インタネ家にて~

「グミちゃんは?」

「眠っているでござる。今宵は貴殿に迷惑をかけてしまったでござる」

「いや謝るのはこっちの方だよ。間違ってアルコールを飲ませてしまって」

「おかげて妹の本心が聞けたでござる。まさか拙者が重荷になっていたとは・・・」

 縁側にてカイトの隣にがくぽが座る。

「がくぽのやっていたことは間違っていなかったと僕は思うよ。急に妹ができて狼狽しない人間はいないよ。たぶんグミちゃんも・・・」

「僕もミクやリン・レンが来た頃はどう接すればいいかわからなかった。それは今でも変わらない。でも、僕がいて、めーちゃんがいて、ミクがいて、リン・レンがいて、僕にも欠点があるしみんなにもある。だから家族でそれを補っていくことが大切だと思うし、それが家族だと思うよ。」

がくぽは静かにカイトの言葉に耳を傾けた。



「じゃあまた仕事で!」

「よろしく頼むでござる」

~似た者同士か~

カイトは静かにそう呟いていた。





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【ボカロ】がっくん、大いに悩む【愛の劇場】

正直、スマンカッタ

閲覧数:429

投稿日:2009/08/12 18:49:11

文字数:2,667文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました