―真昼の月へと浮かび上がった
真っ白に光る月光蟲
―私の命はもう長くない。
「死にたくない」とは、思わなかった。
生まれた時から、いつかこうなることは分かっていたから。
…でも、私はもう一度『あの人』に伝えたいことがある。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
俺は彼女のことが好きだ。
彼女とは幼馴染みだった。
彼女は昔から身体が弱かった。
だから、俺が彼女を守ろう、って決めていた。
それなのに、俺は『親の仕事の都合』という勝手な理由で彼女の元を離れてしまった。
―彼女と別れてから、10年経った。
10年ぶりに会った彼女は、写真の中で笑っていた。
俺は彼女に会いたいと、ずっと願っていた。
俺の10年間の願いは、最悪な形で叶ってしまった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
私はどうしても『あの人』に伝えたい。
昔のことだから、あの人は覚えていないかもしれない。
でも、私は昔からあの人が好きだった。
―身体が弱くて、いじめられていた。
そんな時、あの人は私を守ってくれた。
泣き虫な私に、
「大丈夫だよ。」
って、優しく私の頭を撫でてくれた。
そんな優しくて、温かい手が、嬉しくて大好きだった。
あの人が居なくなる時、何も言えなかった。
私の気持ちは、あの人を縛り付けてしまう、頑丈な鎖のようなもの。
私は確実に先に逝ってしまう。
だから、どうしても伝えられなかった。
…それでも、今は伝えたいと思う。
これは、私の我が儘。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
彼女の葬式が終わった。
本当に彼女との別れ。
呆然と立ち尽くしていると、後ろから声を掛けられた。
「あの…カイト…さんですか?」
後ろで立っていたのは、グリグリメガネをした男。
「あぁ…そうだけど…君は?」
「おれは…郵便屋です。」
「郵便屋?」
「はい。ミクさんに頼まれて、あなたに伝えたいことがあるんです。」
「ミクに…」
複雑だった。
嬉しいはずなのに、怖い。
彼女に嫌われていたら、すごく嫌だ。
それでも、俺は聞かなければならない。
「俺に伝えたいことって、何ですか?」
「はい。『あなたのことが………』」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
私、ずっと、あなたのことが大好きだったよ。
あなたの優しさが、笑顔が、手の温もりが…あなたの全てが大好きだった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
俺は、泣いていた。
涙を拭うことはしなかった。
俺は彼女のために出来ることは、もう何もない。
ただ、泣くことしか出来ない。
もう二度と叶わぬ願い――俺も好きだった。
―その日を越えられるように。
コメント1
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ご意見・ご感想
禀菟
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なにこれ泣ける><
カイトは純愛だね!!
ミクは幸せモンだ!!
ぶ・ん・さ・い・く・れ!!
2011/05/05 10:17:13