※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ
・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』
※ここ大事※
多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz
恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです
上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ
☆☆☆☆☆☆☆
21.
SIED・MASATAKA
わかっている、悪いのは彼じゃない。
どんなに罪深い行いをした親から生まれたとしても、その子供には何の咎もないのと同じだ。
(だけど、)
感情がうまくコントロールできない、どうしてもあの姿を目にすると、憤る気持ちが抑えられない。
「ねー、まー君。ちょっと帯人のこと相談しても…いいかな、」
「…帯人って…篠ちゃんまさかあれに名前付けちゃったの!?ダメだよ、愛着湧いちゃうだろ?」
「何だよ、あれとか言うなよー、」
僕が少し強めに言ったせいか、叱られた子供のように口を尖らせる篠ちゃんは、何故だかあのアンドロイドを気に入っているらしい。
ちょくちょく様子を見に行っては、構っているようだ。
…別に妬いているわけじゃないから。
「怪我がなかなか治らないからさ、何とかならないかなーって、」
「…ああ、あれは怪我っていうか…生体組織が維持できなくて、崩れかけているんだよ、」
あんな三流企業の技術じゃ、これが限界だったんだろうね。
そのまま放っておけば、ゆくゆくは……あっ、ちょっとグロい想像しちゃったよ(汗)。
「え!?ちょ、それマズいんじゃないか!?」
「しょうがないんじゃない?素材の性質上の不具合はどうしようもないよ、」
あの日、所長から知らされた事件のあらましと、今後の方針についての提言。
欠陥品にありがちな、エラーや不具合などの危険を承知で、現状のまま稼働データと環境適応性IAプログラムの成長記録を取っていく…。
所長はそう、望んでいる。
(もう少し詳しく解析してみないとわからないけど、)
多分ここまで酷いと、もう修復できるとかいうレベルではない。
データなんか取る前に、丸ごと廃棄が妥当だと思うんだけどな。
「…なんだよ、それ。まー君は帯人を見殺しにするってのか!?『正規品』じゃないから?…冷たい男だな、」
「見殺しって…あのね、人聞き悪いこと言わないでよ(汗)、」
僕は技術者としての見解を示しただけだし、そもそも他社企業の製品に責任は持てない。例え、元々の基盤は僕のものだったとしてもだ。
「車やPCが壊れたとして、他社メーカーに修理の依頼はできないでしょ?必ず、買ったところと同じメーカーにお願いするでしょ?それと同じで、僕が創ったものじゃない物の面倒は見られないんだって、」
至極、真っ当な回答。でも、篠ちゃんには通じない。
「修理専門の業者さんだっているじゃん!どこのメーカーのものだって、一手に引き受けて直してくれる人もいるじゃん!!」
「あーもー、僕を業者さんと同じにしないでよ(汗)、」
ダメだ、話が通じる気がしないorz
それにしても、篠ちゃんはどうしてこんなにあれにこだわるんだろう?一体、何が彼女の心の琴線に触れたのか。
(いつもはちょっと淡白で、何事も関心が薄い篠ちゃんの興味を、ここまで引くなんて…本当に何が、何処が気に入ったのかな、)
僕は彼女に胸倉を掴まれながら、ふと、そんなことを考えていた。
22.
SIED・KANA
(…いた、)
病院の売店で買ったパックのジュースにストローを突き刺し、中庭のベンチで日向ぼっこをする彼女。
少し眠たげな眼差しで、景色をぼんやり眺めている。
「篠武さん、ここにいたのね。探していたのよ?隣…いいかしら、」
「あ、…うん、」
ここ数日、彼女は一日の大半をあのアンドロイドとともに過ごしている。
本来ならもう、ここにいる必要もないし、何度か帰るよう促しては見たものの、その素振りもない。
事件のあったあの日、エージェントからの報告を含め、掴んだ情報を全て話して、彼の存在の危険性と希少性を説いた。
北澤君は酷く取り乱し、彼の保護を提唱した私に猛反発していたけれど。
(でも、彼女は…、)
篠武さんは嫌悪も侮蔑も、拒絶もなく。
ただ、微かに笑っていた。
寂しそうな、今にも泣き出しそうな…どこか、愛おしそうな。
不思議な笑顔だった。
「ねぇ、彼はどう?落ち着いてる?あなたに…その、…何もしてない?」
脳裏には、白い壁一面の赤黒いまだら模様。できれば、篠武さんにはあのアンドロイドに近づいて欲しくない。もし、この子の身に何かあったら、私は…。
でも、その反面、私は彼女に期待もしていた。
あのアンドロイドの、私を含めた周囲の人間を見る目と、木崎篠武個人を見る目が、明らかに違うのだ。
(確実に、彼女に興味を持っている…、)
もしかしたら、不安定な欠陥品をうまく制御する鍵になるかも知れない。
「別に、何も…。ところでさ、帯人はいつまで入院してなきゃいけないの?」
「…帯人?ああ、名前付けてあげたのね。…近々にでもうちの施設に移転しなきゃだけど…まだ、チームのみんなには話してないのよ。ショックが大きすぎると思って、」
北澤君を中心とした研究開発チームのスタッフには、産業スパイが入ったことも、既に開発データが構築されてアンドロイドとして存在してしまっていることも、何一つ話していない。
…北澤君の様子を見ていると、とてもじゃないけど容易に話せる状況ではなく躊躇していた。
「ふぅん、…そか、」
「…今日も、帯人君のところに行くの?」
わかりきった質問を、心配と不安と、少しの好奇を混ぜて聞いてみる。
「うん、」
「そう。…気を付けてね、」
「…ん、」
飲み終えたパックを潰して、立ち去る彼女の背中を、私は複雑な思いで見送った。
続く
※亜種注意※Lost.Eden//叶わなかったシャングリラ【帯マス】第七話
帯っちゃん不在のターン…。
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