「さてと、フワさんや。いよいよここからですなー」
「そうですね♪」
「私たちも、バンさんの研究所に行きましょうか」
そう言って、立ち上がるムウ。
「ムウさん、あれだけ意固地だったのに、氷アイス全部食べてくれたんですね」
ふわりと笑みを浮かべて呟くフワも、立ち上がる。
「・・・」
ムウは一瞬動きを止めつつも、すぐに素知らぬふりをしてモニタリング室から出て行った。
「ムウさんのそんなところ、とっても好きですけど、もう少し素直だったらなって思います」
なにやら頬を赤く染めてフワは言ってから、ムウのあとを追ったのだった。



30分後。
バンの研究所に全員が集まっていた。その中にはもちろん、ムウとフワの姿もあった。
「「写真対決は、ここからが本番ですよ! みんな、もしかしてチャンネル変えてないよね?」」
「今年は、なんか言い回しがパワーアップしているような気がする」
司会のムウとフワのハモリ言葉に、アカイトは呟く。
「そうだな」
バンも頷く。
「あー、まただよー。またバカップルの空気読めないこの展開。今年は久々に活躍できる場なんだから、何も呟かないでよー」
ムウは顔を手で覆う。
「もうしょうがないですよ。それより、進行係としての異名を勝ち取りましょう♪」
フワはムウに言う。
「そうだね。進行係としての異名を勝ち取らなきゃね・・・」
「?」
ムウとフワの会話が、いまいち分からないみんな。
「なにかの賞なんでしょうか?」
「どうかにゃん? よく分からにゃいにゃんよー」
モコとミンは首を傾げ合う。
「「さーて今から、それぞれのグループの中で撮った写真から、1枚を厳選して下さい! 制限時間は、・・・」」
肝心なところで、急に黙り込むムウとフワの2人。
「決めてないのか?」
「それはないはずだけどなー。なあ、ウサ」
「うーうー! 進行係の意地ー! うーうーうー!!」
ベルにゃーとラクとウサは、思い思いのことを言う。
「ねぇ、空気読めないアカイト。なんで今のこのタイミングで、何も言わないのさ?」
「え?」
いきなりムウに言われ、きょとんとするアカイト。
「みなさん、これがほんと空気読めない人の姿です。全く、せっかくアドリブで黙り込んで質問の場を設けたのにー」
「ア、アドリブで2人同時に黙り込むなんて・・・」
「すごいですね」
肩をひょいとすくめて呟いてみせるムウの言葉に、モコとめぐっぽいどは顔を見合わせる。
「「気を大幅に取り直して、制限時間は手早くお手軽に、10分間にしましょー!」」
「え・・・」
「これは大変だねー」
「手早くお手軽はほんとに軽かった! なんてね、うーうー!」
なんともお手軽な2年目ハイテンションMCに、ジミは凍りつきセトは涼しそうに言って、ウサは楽しげにはしゃぎながら言った。
「「はいそれでは今から10分間厳選シンキングターイムです、レッツゴ」」
「・・・レッツゴじゃなくて、レッツゴーじゃないのか??」
「アカイトさんリーダーなんですから、早く向こうに行って厳選して下さいよー、全く」
思わず呟くアカイトを、ムウは追い払う。
「もう俺絶対ムウにのけ者にされてるよなー」
「にゃはは、そうだと思うにゃんよー」
ため息をつくアカイトに、ミンはにゃははとせせら笑う。



「そういえば、ムウさん」
グループごとに集まって話し合っているのを見ながら、フワはムウに目を移す。
「ほんとに10分間でいいんですか? なんなら、もう少し延ばしてもいいのではありません??」
「えー。これ以上は無理ですな、はい。手早くお手軽に、が今年のコンセプトです」
「私、初耳ですけど?」
そうして、にこりと笑むフワ。
「・・・その笑顔が、少し恐ろしいような」
ムウは目を逸らして呟いた。



1グループの話し合い。

「まず、1人1人が撮った写真の中でこれが一番だ!っていうのを選んでくれ」
アカイトの言葉に、みんなは早速カメラ内に保存されている写真データを見直す。
「あの・・・この写真はどうでしょうか」
しばらくして、ナナが手を挙げた。
「100枚目の区切りに撮った、ギルくんの疑問符で埋めつくされた表情なんですけど」
「だめだーっ! そそそそそれだけは、絶対だめだっ!!!」
にこにこ笑顔で話すナナに、ギルは叫ぶ。
「だって、相当可愛いんですよ? ほら」
「どれどれ・・・って、か、可愛い!!」
「こんな表情をナナには見せるのかよー」
みんなの方へ向けられるカメラの画面いっぱいに映し出された写真を見て、ルナとリウは思わず言う。
「あとは、記念にみんなで撮った集合写真がありますけど」
「さっきのギルくんの方が絶対優勝できるって!」
「そうだよそうだよー。・・・というか、ナナには甘いのかよー」
「・・・リウちゃんって、ギルくんとナナちゃんのどっちが好きなんでしょうか? ルナちゃんには普通のようですが」
シオンの小声言葉に、
「分からないですけど、これからの展開が楽しみですね」
モコも小声言葉で返事した。
「じゃあ、ナナが撮ったギルの写真に決まりだな。・・・ギルには悪いけど」
アカイトは言った。
「いいよ、もう・・・。その代わり、絶対優勝してやるんだからな・・・!!」
ギルは赤く顔を染めて、宣言したのだった。



2グループの話し合い。

「ぶっちゃけ、自分のこの写真がいい!っていう人は挙手して下さい」
ピノの言葉に、みんなは考える。カメラ内の写真データを見たり、ただ単にカメラをいじったり。そんな中、一番最初に手を挙げたのは、
「猫さんの写真がウサ的に、いっちばーん! うーうーうー!!」
元気良くウサは言って、カメラの画面をみんなに向ける。
「あ、その猫さんなら僕も撮ったよー、ほら」
ニガイトもカメラをみんなに向ける。
「どちらも眠っていますね」
「そうね」
ルカの言葉に、ネルは呟く。
「他には? 誰か、いますか??」
ピノは再びみんなに聞く。
「あら? アリスさんはなにかいい写真撮ったって言いませんでしたっけ?」
柔音フワはアリスに言う。
「・・・ウサちゃんの写真の方が、ずっとずっと可愛いですよ」
にっこりとした笑顔でアリスは言う。
「ピノにゃーん、このウサが撮った猫さんの写真で優勝しよーう! うーうーうー!!」
2つのぬいぐるみを引き連れているウサは、宣言したのだった。



3グループの話し合い。

「ジミちゃん」
「はい、何でしょう?」
リーダーのジミが何かを言う前に、セトは手を挙げる。
「この写真、合成しないで撮ったんだよ」
そう言って、画像ファイルをカメラの画面に表示させてジミに見せる。
「すごいですね」
「真っ青な空で、モノクロな川・・・すごくきれい」
ジミの隣のレトも呟く。
「その写真は、多分優勝できそうですね」
ネムリも呟く。
「ちなみに、シキくんが手伝ってくれたから撮れたんだよ」
セトはにこりとしてシキを見る。
「すごいねぇ、シキくんそんなすごいことできたんだねふああ」
マツキはあくびをしながら褒める。
「こんなにスムーズに決まるなら、10分も要らなかったですね」
「そうだね・・・♪」
苦笑いして言うジミに、レトは嬉しそうに頷く。
「手伝ってくれたシキくんのためにも、ボクは絶対この写真で優勝しよう」
不敵な表情で、セトは宣言したのだった。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ長編・後編(上)】 今年の夏は写真対決で決まり!

こんばんは! もごもご犬です、こんにちは!
お久しぶりですねw
なんというか・・・最近色々のんびりしたり、どっか行ったり・・・とは言っても遊びにじゃないんですけどねwww
曲は今のところ4曲ぐらいを目安にリピート中ですw

そういえばタグが面白いことになってたようなw 誰がつけてくれたんだろ?
夏祭りの話はまだ書いてませんが、8月が終わる前には仕上げようと思っています><
次回も、お楽しみに!^^

閲覧数:61

投稿日:2011/08/23 18:59:16

文字数:3,018文字

カテゴリ:小説

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