ミンを除いて、ほぼ全員が集まっている天気のいいある日のこと。
「アカイト」
「・・・何?バン」
バンに名前を呼ばれて、振り向くアカイト。
「アカイトって、二重人格か?」
「は?」
「だって、ミンが帰り際に言ってただろ?だから」
「そんなこと言ってたかなー・・・?」
アカイトは首をかしげる。そういえば、前回・・・数日前の騒動が終わって、帰る時にミンが相変わらず意地悪い声で言ってたような気がする。
「・・・まぁ、そんなこと言ってたような気もするけど。・・・ん、まさか俺疑われてるの?ちょ、ひどくないか?仮婚約者として」
「愛するアカイトを疑う訳ないぞ?私とアカイトは、・・・仮とはいえ、婚約者だからな」
「なんで、照れながら言うんだ?おかしいだろ?」
僅かに頬を赤く染めて呟くバンに、アカイトは若干呆れながら言った。
「それは婚約者として、当たり前の反応よね!」
そんなアカイトとバンのやり取りを見ていたナエルが、すかさず言う。
「・・・婚約者・・・?」
バンの研究所に来て、まだ間もない新参者のピノはナエルの言葉の中の単語に反応する。
「あー、なんか男同士で何やってんだよとか思わないでくれよな?アカイトには、色々世話になってるしさ。あの二人は、正真正銘、自他共に認める婚約者なんだ」
グルトが、アカイトとバンの関係について、誤解の無いように言った。つもりだった。
「グルトさん。仮が抜けてます、仮が」
「え?ああ、悪いな。訂正する。あの二人は、仮の婚約者だ」
モコの妙に威圧感ある訂正の言葉に、グルトは一瞬きょとんとしてから、すぐに気づいて、訂正して正しい事実を新参者に伝える。
「仮、ですか・・・。世の中、まだまだ捨てたものじゃないですね」
妙に感心する新参者のピノ。
「むー、ピノさん、そこは感心するところじゃないですよ?」
ピノの隣にいたマニは呟く。
「え、でも、ロリコンよりかはマシじゃないですか?」
にこっと爽やかにマニに笑いかけるピノに、
「そうですね・・・っていうか、ロリコンとは少し違いますよ?まぁ、ジャンル的には似たようなものなんでしょうけど」
マニはピノのその表情に若干見とれつつも、冷静に言った。
「あ、そこのお兄さんとは、とりあえず、縁を切ればいいと思います。っていうか、薦めますよ」
マニはピノのお兄さんを指差して、冷酷な言葉を可愛らしい顔で言う。
「・・・黙れよ妹属性」
ピノのお兄さんもといダッツはマニとピノを見て、ぼそっと呟いた。
「貴方に言われたくはないです」
ピノに負けない爽やかな表情で、一蹴するマニ。
「・・・・・」
ダッツは言い返す言葉も無いのか、気力が無いのか黙りこくってしまった。
「なんか、見ていていいですよね~♪」
「妹と兄の対立、ですか~♪いいですよね~~」
もはや腐女子になりつつある、フワとムウは萌えまくる。
「うー、あの兄妹は仲悪いのに、リアにゃーんとラクにぃは仲そんなに悪くないよねぇ?」
そう言って、リアとラクを見上げるウサ。
「そうかな?私とラクはね、貴女が絡んだら喧嘩するのよ?」
無邪気そうに見つめるウサに、リアは優しく言う。
「うー?ラクにぃはー?」
リアの言葉だけじゃ納得できないのか、今度はラクを見つめるウサ。
「そうだなぁ、俺はいつでもウサと結婚する覚悟はできてるぜ」
「うーうー!私、大きくなったらラクにぃと結婚する!」
「もう、ラク。ウサちゃんをそそのかす言動はしないでちょうだい。まだこんなに可愛いのに、こんなやつと結婚しちゃだめよ?ウサちゃんには、もっとかっこいい人が現れるから・・・ね?」
ラクを睨んでから、ウサに言い聞かせるリア。
「うー、ラクにぃも、かっこいいよ?」
純粋無垢なウサは、手に持っていたうさぎの縫い包みをぶんぶん振り回しながら言った。
「私から見れば、だめだめね」
「うー、リアにゃーんは、ラクにぃのこと、嫌い・・・?」
「そんなこと無いんだけど、・・・そんな悲しい顔しないで。私が言いたいのは、こんなやつに、ウサちゃんの未来が奪われちゃだめってこと」
にっこりと笑って言うリア。
「・・・・にゅー」
「ん?ウサちゃん可愛いもの、少しは見ててもいいでしょ?」
レトが服の裾を掴んだだけで、ある程度分かるようになってきたジミは言った。
「・・・だめ、ジミは、僕のこと見てなきゃ」
ほっぺたを少し赤く染めて、レトは本音のような言葉を言った。
「分かったよ、レトくん」
そんなレトの様子に、何かを察したのかジミはレトに優しく微笑んだ。
「じゃ、ちょっとデートして来ようか」
「・・・うん」
ジミの言葉に、顔を真っ赤にしながらも、レトは頷いた。
「・・・・・止めなくて、いいんですか?ミドリさん」
現在絶賛モノクロ中のシキが、ミドリに言った。
「・・・・・・・いつか、言うから、今はいいよ」
だんだん言葉に、元気がなくなってくるミドリに、
「そうですか。・・・応援してますよ」
シキは優しく言ったのだった。
「大変ですね、ミドリさんも」
そこへ、マツキが欠伸をしながらやって来る。
「私も応援してるわん!・・・でも、今のところはレトくんの圧勝のような気がするわーん」
ワンもやって来て、フォローになり切れてない言葉を呟く。
「・・・ですよねー」
ミドリは、泣きそうな感情を堪えて、言ったのだった。


        後編へ、続く!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ小説】 前回の続きのような騒動とやっぱり前触れはあとからやって来る 【前編】

こんばんは、ちゃんと新たな亜種を登場させるつもりだったのに、なんかやっぱりいつもの通りに書いてしまったもごもご犬ですこんにちは!
最初は、ちゃんと書く気あったのに、だんだん書くにつれて収拾つかなくなって気づけば作品1つ分に・・・。

というわけで、今回は前編ということになってます(笑)
次回は、ちゃんと出てきますというか出します←
それでは!

閲覧数:49

投稿日:2010/06/15 20:19:00

文字数:2,217文字

カテゴリ:小説

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