あえてツン全開・・・
ってことは当然デレもあるんでしょ?
・・・ねぇ、あるよね?
ねぇったらぁああ・・・・・・
下剋上4(完)【自己解釈】
妙に張りつめた空気が僕らを包む

ミク姉の肩を掴んだままリンの方を凝視して固まる僕
動揺を隠し切れずに目を泳がせつつリンを見遣るミク姉
リンはといえば
いつものコスチュームに妙な形のラテン系っぽい帽子をかぶり、
手にはなんだか緑と白のよくわからないものがパンパンに詰まった大きなタッパーを携えて…なんて異様な格好で、不気味なほど無表情でこちらを見ている

………。
ツッコんではいけない…
笑うなんて以ての外だ
いくら常軌から激しく逸脱した格好をしていたとしてもそれがリン自身の好みの格好であったなら、少しでも批判の言葉を述べただけで確実に殺られてしまうだろう
でも…でも…

言わないと(いくら素材(リン)が良くても)リンの人気が地に落ちかねない……!

僕はごくりと唾を飲み込んだ後、なかなか言うことを聞いてくれない表情を無理矢理笑わせ大きく息を吸い込んだ
そして命がけで言葉を紡ごうとしたその瞬間

「ひぃっ!」

物凄い形相と足音を立てリンが前進してきた
あまりの恐ろしさと、不気味さに思わず舌に乗りかけた言葉を引っ込めてしまった

マズイマズイマズイ…!
リンはついに僕の思考まで読み取れるようになってしまったのか?!
だとしたら…殺られる、確実に

リンと僕・ミク姉との距離があと三歩、というところで僕はそっと心の中で人生にさよならを告げる
あぁ、14年。短い生涯だった。
できれば最後に死ぬほどバナナが食べたかっ……

「ぉうえ!?」
スパァンと音を立てて無機質な生温かいものがミク姉の肩にあった僕の手に直撃し、僕の手はそこを離れて宙を舞い弧を描きながら吹っ飛んだ

痛みなんかよりも先に一体何が起こったのかと脳がパニックを起こす
ミク姉も僕もただただ目を丸くするばかりでぽかんと間抜けに口を開いていた
そんな僕らの顔の間には、先ほどの大きなタッパー
どうやらこれをリンが目にも止まらぬ速さで僕の手に向かって突き出したことでこんな事態が起こったらしい
あ、なんか状況を理解できたら手が痛み出してきた…
リンはまだその大勢を続けたまま、何も言わずただ俯いている
リンの神経を逆撫でしないように僕はそっとタッパ―に直撃された右手を摩った

しばらくの沈黙を破ったのは戸惑ったようなミク姉の声だった
「リ…リン…?」
その瞬間、リンがゆっくりとその顔を上げる
驚いた
ひどく不機嫌そうなのに
いつもみたいな鬼の形相なんかじゃなくて
眉を寄せて、唇をへの字にして
なんだか傷ついたような、泣き出しそうな顔をしていたから

「リ…」

とっさに声を掛けようとした瞬間、今度は物凄い勢いでリンはミク姉に向き直りタッパ―を突き出す
要領を得ていないミク姉に向かって、リンはやっと口を開く

「これ…ねぎちゃんぷる…
食べたらトイレ行きたくなる…と思うけど
リンのおごりだから…だから…
レンを盗らないでっ」

え…

それだけ言い切るとリンはミク姉の胸に無理矢理「ねぎちゃんぷる」なるものを押し付けて僕の腕を引いて走り出す
走ったことによる起こった風で、
去り際にミク姉を見ると、なぜか微笑んでいた


「…リン痛いよ…リン…リンってば」
強く強く手首を握りしめられる痛みに耐えかねて、僕はそう告げる
ただ黙りこくって当てもなく歩き続けていたリンは、僕の言葉を聞き入れたのか乱暴に手を離して僕の方に振り向く

「どうしたのさ…リン」

しゅんと項垂れるリボンを僕は見つめる
俯いているせいでリンの表情は見えなかった

「……んだから…」
「…え?」

「ミク姉なんかよりリンの方が可愛いんだからっ」

勢いよくリンは顔を上げる

あ、また…泣きそうな顔…


「なのになんでレンってば…馬鹿っばぁかっ」


リンは僕の胸倉を掴んで強く揺すり、『馬鹿』と繰り返す

「ちょ…リン、落ちつい……」

揺すられて脳震盪を起こしかけそうになりながら僕は言葉を押し出す
それをも無視してひとしきり揺すり終わった後、するりとリンの手が僕を解放した

よれた襟を正して僕は大きく息をつく
リンは拳を握りしめ、ひどく不機嫌そうな表情のままだ


「リン、もしかしてなんか誤解してない…?」

壊れ物を扱うように慎重に問いかける
僕の身の保身のため…ってのも無くはなかったけど、何よりリンが傷ついているから

そっと俯くリンの表情を伺おうと身を屈め顔を覗き込もうとすると、ぴくんとリンの体に緊張が走った


「レンはリンとふたりでひとつ、でしょ」
「…そうだよ」

「リンが一番、…でしょ?」
「勿論」

リンの問いかけに思わず笑みが零れる

暴力的で横暴で怖い、けど。
やっぱりリンは可愛いんだ

「『合言葉はおk、緑は敵だ』って言ってたのリンじゃん
リンを裏切ったりなんかしてないよ」

そう言うとリンはやっと僕の方を見た


「…そうだよ。緑は敵、なんだから!」
「わかってるって」

さっきまで萎れてたのにもう凛とした気の強そうないつものリンだ
なんて思って笑っていると、リンにどつかれた


「そろそろ夕飯の時間だし、帰ろうか」
「うん、マスターも待ってるだろうしね」

どちらからともなく手を繋いで夕暮れの中を僕らは歩く


鏡音一家、ふたりでならどこまでものし上がっていける…よね?


~おまけ~
L「そういえばさ、食べたらトイレ行きたくなる…ってあれってやっぱり…」
R「うん、下剤入りv」
L「…歌姫になんてことを。」

L「しかもさ、ねぎちゃんぷるってもしやちゃんぽんの間違いでは…」
R「だってマスターがちゃんぽんの作り方知らないって言うから…似てるでしょ?ちゃんぷる。」
L「…沖縄県民と長崎県民に怒られるよ…?」
R「そしたらお詫びにちゃんぽんおごるよ」
L「…リンガ●ハットで?」
R「え、それって帽子のことでしょ?何言ってんの」
L「まさかあの奇妙な帽子って…」
R「マスターが今日は日差しが強いから被っていきなさいって
  しま●らで買ったリンガ●ハットだよって、被せてくれた」

RL「「………。」」

L「…あンの無知なくそマスター。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

下剋上4(完)【自己解釈】

ということで完結です^^
やっとこリンデレてくれた♥(黙

リンガ●ハットの件は帽子かなんかだと本気で思ってました(爆
(これ書くためにリンガ●ハットってどんな帽子かなー、と検索かけたことでとある店舗名だと発覚ww)

読んでくださった方、ありがとうございます^^*
次は…ロミシン書こうかなー…なんてv(やめて

閲覧数:318

投稿日:2011/05/15 11:08:18

文字数:2,603文字

カテゴリ:小説

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