「ご主人~! まだ寝ないんですか~?」




 エネはシンタローのパソコンに入るAIだ。





 いつも、彼にちょっかいを出している、迷惑なAI。





「……なあ、エネ」





「どうしました、ご主人?」





「なんでお前まだその姿のままなんだ? あのとき研究者たちに頼めば身体を取り戻すことだって出来ただろ」





「そーなんですけどねー。なんだかめんどくさいといいますか」






「なんだよそれ……。ま、いいや。寝るからシャットダウンしといて」






「なんですかそれ勝手すぎますよ! ……あ、寝ちゃった」





 エネはシンタローが寝てしまったので、パソコンをシャットダウンする。それでも、居なくなるわけではない。シャットダウンをパソコンに命じて、エネはシンタローのスマートフォンに逃げ込む。






「私も寝ますかね~。あ、でも眠くないんでした……」






 寝ているシンタローを見ながら、エネは先程シンタローに言われた言葉を思い出す。





 ――なんでまだその姿のままなんだ?







「……ご主人って、ほんとに鈍感ですよね」






 それだけを言って、エネはスマートフォンをスリープモードに切り替えた。







ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【シンエネ】目がない話

短いです。

閲覧数:538

投稿日:2013/01/04 21:57:12

文字数:550文字

カテゴリ:小説

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