ミク視点

「そう、お姉様が、見つかったのですか」
ユアさんは、私に訊く。
「はい、そうです。ルアさんが、見つかったんです」
「行かなくては、ならないです。ですが、何年ぶりの再会にになるのでしょうか」
「恐らく、5年ぶりだと思います」
「そうでしょうか、もっと、離れてたと思います。悪UTAUが出来てすぐに、もう行方不明になられてたのですから」
「とにかく、行きましょう、ユアさん、ララ達があそこで騒いでますよ」
「そうね、行きましょうか」
この、ルアさんの帰還が、新たな事件を起こすとも知らずに。

ララ視点

「いけ!!バハムート!!」
今、キリアちゃんや私達は、特訓室に来てる。
「そんなに叫ばなくていいだろう。はあ・・・・・」
この呆れ気味に話しているのは、凱留クロア。
「まあまあ、いいだろう。元気なのが一番なんだからなよし、博士も遊ぶぞ!!」
この人は、えーと、確か、クロア君のお兄さんの、ガウリイル・W・E・フィールだったと思います。
あ、違いました。これは偽名でした。正しくは、凱留フィルさんでした。
まあ本人は博士、若しくは先ほど言った偽名で呼ぶと喜ぶらしいです。
「・・・・・・・・・眠い」
で、この今にも寝そうなのは魁留イアル君。結構何処でも寝ちゃうから、ボーレイシェンはキリアちゃんとの二人乗りなの。まあ、殆どキリアちゃんが操縦してるんだけどね。
「というか、博士さん、これは遊びじゃありませんよ、訓練です!!これはあくまでもお遊びじゃないんですからね!!もう、この人達にはキョウちゃんやマイちゃんからも言ってよ・・・・」
「だね、皆、地獄に堕ちたくなかったら、ちゃんと訓練しないと」
キョウちゃんは、自分は分かってないのか、よく毒舌を吐く事があって、ちょっとびっくりした。
「まあ、楽しいんだから、いいんじゃないの?ほら、ララちゃんも、一緒にやろう!!」
マイちゃんが私の手を引っ張った。
「ちょ、マイちゃん!!」
ピピピピピピ・・・・・。
「あ、着信??ミク姉から」
>ララちゃんへ。
行方不明だったユアさんのお姉さん、ルアさんがこちらに戻られました。
ララちゃんもこっちに来て下さい。
「ごめん、マイちゃん、キョウちゃん、なんか、呼び出し貰っちゃった。ちょっと行って来るね」
「は~い」
「行ってらっしゃい」

「あ、貴方が、ララちゃん?はじめまして、ルアです」
「・・・・・・」
其処には、ラルのお姉さんが居た。
UTAUを作った人である、ルアさんが。
「あの、少し訊いてもいいですか?」
「いいですよ」
「何故、悪UTAUは生まれてしまったんですか?」
「・・・・その前に、皆を、呼びたいの、今、皆に、言わなければいけないことがあるの」
「私の質問に答えて下さい」
「ごめんね、今は無理なの。ごめん、本当に、大切な話が、あるの。ユアに関する話でね」
「・・・・分かりました。皆を呼んできます」
私は、皆を呼びに行った。

「では、皆に話さなければいけない事があるのです。それを説明するために、此処に皆さんを呼びました」
そして、ルアさんは説明をした。
「ユアに関する事で、まだ言っていない事がありました。それは、ユアに体に、三つの心臓と、四つの魂があることです」
それは、要するにラルは多重人格者ということ、だが、一つの体に三つの心臓。それはにわかに信じ難い事であった。
「信じられないかもしれないですが、これは真実を言っているのです。あと、もう一つ言う事は、悪UTAUについてです」
これは、私にとっても、皆にとっても、本命の話だった。
「悪UTAU達には、オリジナルのUTAUと、其処で作られた歌う事を目的としないUTAUがあるのです。そして、そのオリジナルUTAUは、操られているのです」
それは、テト、テイ、ルナの時にすでに分かった。
彼女達は、狂っている。その理由なんてすぐに分かった。
操っている者自体が狂っているから。
何故、その者が狂っているのか、それが誰なのかはわからない。
「ですが、操っているものまではわかりませんでした」
「なら、オリジナル達を助けるまでじゃないの」
そう言ったのは、マイちゃんだった。
「だって、操ってるのが分からないって、操られている子達を、私達が救う。そして、全員取り戻しちゃえば、その本人が出てくるんじゃないの?簡単な答えじゃないか」
「確かに、そうですね、私の考えがかたかったようです」
その時、ドアが勢い良く開いた。
「姉貴、どうして此処に今更来たんだ。人に散々心配かけやがって。今まで、何処にいたんだ」
其処に居たのは・・・・・ラルかと思ったけれど、違う。見た目はエンジェの力を少し解放した時のラルの姿に似ているけれども、何かが違う。根本的なものから、何かが違う。
「ルピア・・・・・。ごめんなさい。今まで、悪UTAUにとらわれていたの」
「確かに、考え方はそうよねえ、まずは設計者から捕らえるというのがよくある考えだもの」
レインさんがそう言った。
「でも、何でその操った人はVOCALOIDを狙わなかったんだろうね」
「マイ、それはすぐに考え付くだろ」
「え~?」
「それはな、VOCALOIDの方が当時警備が厳重だったんだ、それに比べUTAUの場合はウイルスを進入させやすい環境だったんだ」
マイちゃんの疑問にサウ君が淡々と答える。
「そうだった・・・んだね。ごめんね、何か勘違い・・・・してたみたい・・・・」
「ユア!!!貴方は今感情が不安定すぎるから出ては駄目といったでしょう!!」
其処に、ミリさんが居た。
「お母様・・・・・・・・」
「ほら、貴方は医療室に戻りなさい」
「はい・・・・」
そう言って、ラルは部屋から出て行った。
「あの、ラルは、何かの病気を抱えているんですか??」
私はミリさんに訊いた。
「ええ、とても、重い病気をね・・・・」

「え、えっと、まあ、そういう事で、亜種ボーカロイド隊は、オリジナルUTAU奪還大作戦に参加する、という事でよろしいでしょうか?」
と、私が言った途端。
「ピピピピピピピピピョヨヨヨヨ!!!ピヨ、ピヨヨ!!!」
「『なななななななに!!!少しばかりバカンスに行っていただけでこんなに話が進んでおられていましたか!?、この度は失礼した!!』と仰っています。ただいま、帰って参りました」
そう、ピヨさんと黒子さんが、しばらくぶりに戻って来たのであった。
「良いですよ、ピヨさん、体や心を休めるのも大事な事なんですから」
「ピヨ、ピヨヨヨ・・・・」
「『そうでございますか、良かった・・・・』と申しております」
「では、オリジナルUTAU奪還作戦、エイ、エイ、オー!!!」
『オー!』

これから、長い私達の戦いが、本当に幕を開いた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歌姫戦士ボカロボット第11話 「姉の追想」

11話!!
やっとルアさん登場。ピヨさん達も戻ってまいりました。
あと、ヴァンの子キリアちゃんのみだったので、クロア君、博士、イアル君借りました!・・・・・ってなぎっちゃんの子がいない!!
しまった・・・・次は大活躍させるからね!!
次回予告↓
テト「始まってしまった戦い、洗脳が解け、目覚めた僕は、友の目を目覚めさせるべくボーカロイド隊の別部隊、UTAU部隊を結成したのであった。だが、戦う僕に操られている仲間の声がする。次回「惑わせるかつての友」僕は友の目を覚ます道を選んだんだ。これに悔いはない。だから、僕の心を惑わせないで!!」

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投稿日:2011/07/29 19:04:31

文字数:2,788文字

カテゴリ:小説

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