奈落の夜に零したナミダ
これが最後の美しさと知っていた
あなたに見せる私の綺麗は
何も残っていない

月の光 刃物の冷たさが愛おしい
あなたは私が怖いのでしょう

刹那の命に焦がれては 眺めて
美しさを悟っている
夥しい死屍 薄い羽が散る
恍惚に花が咲く


すくう手のひらを落ちるシズク
それが虚飾の惨劇を生んでしまう
あなたの吐息 私の贖罪
めぐる 輪廻と共に

春の夜風 頬の柔らかさが囁いた
あなたは私が欲しいのでしょう

永遠を語る 偽りが透けている
さようならも言えぬ脆さ
美しい生は 醜い死を呼ぶ
止まらない花が散る


満開の桜の樹の下で夢を見る
あなたは私を殺したでしょう

あなたが

そんなに信じて かたくなに信じて
私はまだ 桜の下
朧月の春 満開の季節
恍惚に花が咲く
止まらない花が散る
終わらない花が また・・・

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

春、満開、桜に死す ※ややダーク注意

桜の季節。
梶井さんの小説(散文詩?)を下敷きにしています。

閲覧数:238

投稿日:2008/03/25 01:16:32

文字数:372文字

カテゴリ:その他

  • コメント5

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  • 七-瀬

    七-瀬

    その他

    お世話になっております。笑

    感想ありがとうございます、実は高校の授業で自分が書いた
    解釈を読んで書きました。なので大当たりです。

    私もvalbioneさんの美麗な絵が大好きです。
    ぜひイラスト、楽しみにしております・・!

    2008/03/31 00:35:58

  • 七-瀬

    七-瀬

    ご意見・ご感想

    ありがとうございます。
    美しく明るい桜の詩は、他の方がたくさん書いてらっしゃるので、
    毛色の違う所を目指しました。

    安吾もいいですよね。
    たしか、梶井の「桜の樹の下には」とどちらが先だったか
    忘れてしまいましたが、「桜」「狂気」というキーワードは
    似通っているので、そちらもぜひどうぞ。

    2008/03/30 00:15:44

  • nefty

    nefty

    ご意見・ご感想

    はじめまして。

    昭和の文豪、坂口安吾の小説
    「桜の森の満開の下」をなんとなく連想しました。
    美しい桜の木の下には死体が
    埋められてるなんて俗に言いますが、
    桜の花を「美しい」というだけじゃなくて
    「死」や「狂気」のようなダークな解釈を
    するってのは、なんかカッコいいなぁ。

    2008/03/29 22:14:30

  • 七-瀬

    七-瀬

    ご意見・ご感想

    感想ありがとうございます。
    ダークになりすぎていないか心配だったので、
    澄んだ美しさと言っていただけて、嬉しいです。
    また、本当は原作を隣に置いて唸りながら書いたのですが、
    コメントを読んで、この詩の別の見方に気付かされました。

    2008/03/26 00:46:57

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