土埃五十七番街

錆び付いて動かない給水塔
毎日の水汲みのお手伝い
往復三里ブリキのバケツ担いで
おねえちゃんと一緒に行くの

土埃と灰を被った街
おうちの屋根は穴が空いたトタン
妹と一緒に寝て上を見たら
穴からお月様ちらり

ある日肌の色が白くてキレイな
女の人がやって来て
「かわいそうな生活なのね」って
こっちを見てそう言ったの
でも意味がわかんない

パパがいてママがいておうちがあって
ママが作ってくれるごはんと服があって
幸せはここに全部揃ってるよ
土埃五十七番街

お月様の隣の星になった
おばあちゃんが昔々言っていたの
「無いものじゃなくあるものを数えましょう」
土埃五十七番街

優しいおねえちゃんがそばにいて
いつも笑顔の妹がそばにいて
幸せはここに全部揃ってるよ
土埃五十七番街

お気に入りのサンダルを履いて
今日も姉妹は水を汲みに行く
手をつないで二人で歌い歩こう
土埃五十七番街