―僕は最初‘カイト’だったんだ…。
「マスター、歌練習したので聴いてください。」
「わかったよ、歌ってみて。」
「はいっ。…♪~♪♪~…」
マスターに喜んでもらうために歌をたくさん練習した。
「スゴいよ、カイト。前より上手くなってる。ご褒美にアイスあげる。」
「ホントですか?やったぁ。」
マスターが喜んでくれると僕も嬉しくなった。
…でも幸せは、そう長くは続かなかった。
マスターが、新しい仲間を連れて来た。
挨拶をしようとしたら、マスターが僕を呼び止めた。
「カイトはこっちに来て。」
「?はい。」
少し疑問に思ったけど、僕はマスターに着いていった。
マスターが立ち止まったのは、押入れの前だった。
「カイト、ここに入って。」
「な、何でですか?」
「…ごめんねカイト。飽きちゃったの。」
「っ…。」
僕はマスターの言葉にショックを受けた。
けど、マスターを困らせたくないから押入れに入った。
中は埃っぽくて、暗くて、じめじめしていた。
―何でマスターは僕に飽きちゃったんだろう…。
僕はそれだけを考え続けた。
何日経ったかわからなかったが、自分に異変を感じ始めた。
髪の毛が緑色になった。
でも僕はそんなことは気にせず、マスターのことだけを考え続けた。
それからどのくらい経ったかわからなかったけど、誰かが押入れを開けた。
僕はびっくりした。
押入れの扉を開けたのは、あの時マスターが連れて来た、緑色の髪の毛をした女の子だった。
「見つけた…あれ?カイトじゃない…。」
女の子はそう言った。
―僕はカイトじゃないの?じゃあ、誰なの?
「この髪の色は…ニガイト。ニガイトだ。」
―ニガイト、か。
「あの、マスターはどこにいるんですか?」
そう聞くと、女の子は悲しそうな顔をした。
「マスターは…、マスターは、死んじゃったんだ…。」
「!」
僕は声が出なかった。あの大好きなマスターが死んじゃったなんて信じることが出来なかった。
「マスターが謝ってたよ。私の勝手な都合でカイトに酷いことしたって…。」
「そんな…。あれは、自分の歌と喋りが下手だから、全部悪いのは僕だから、マスターが謝る必要はないのに…。」
そんな僕のことを見ながら女の子は言った。
「マスターのこと、嫌いにならなかったの?」
「僕はマスターが大好きですから。それに悪いのは僕ですから。」
「そっか。でもニガイトが悪いわけじゃないよ。私も悪いの。ニガイトのことわからなくて、今まで出してあげられなかった…。」
「な、泣かないでください。」
「ごめんなさいっ…。」
僕は女の子が泣き止んだのを確認してから聞いた。
「僕はこれからどうすればいいんですか?」
「うん。新しいマスターがいるんだ。そこに行くんだけど…、大丈夫?」
「…はい。僕を必要としてくれるなら。」
「…じゃあ行こうか。」
「ニガイト、次はこの曲歌ってみて。」
「はい。」
―マスター、僕は貴女のことを忘れません。今は新しいマスターと一緒にいます。新しいマスターのこと、大好きです。でも貴女のこともずっとずっと大好きです。だから見守っていてください。僕が貴女のもとへいくまで…。
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ご意見・ご感想
禀菟
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なんていう文才…!!
その文才ってどこに売ってるの?
ニガイト可愛いね!
ネガティブなとことか、タレ目とか好きww
リクエスト考えとくね(^^)d
2011/04/10 13:31:25