空は暗く、周りは明るく

辺りが真っ白に輝いていたり、イルミネーションで輝いていたり

人々は寒がったり、暖かくしていたり

月は12月。

所謂、冬の訪れである。

町は雪で覆われたり、都市はクリスマスツリーで輝いていたりしていて、まさにクリスマスに向けてのカウントダウンが開始されていた。

勿論、状況はボーカロイド達も同じだった。

とある一角の居酒屋―

「・・・ふぅ~・・・」

熱燗の日本酒を飲み、安心するように弱音ハクは吐息を漏らした。

冬用のジャンパーに手袋、マフラーの格好をしている。

仕事帰りに寄ったこの居酒屋は彼女にとっての憩いの場所でもあった。

「店長~・・・つまみ~」

ほろ酔いで弱音ハクはつまみ(枝豆)を注文した。

と、そこに

「ちわ~す!!」

「お~、めーちゃん」

と、ハクの親友その一、咲音メイコがやってきた。

MEIKOというのはアイドル名で本名は咲音メイコという。

「相変わらず飲んでるね~、あんた・・・」

「これが楽しみなんですよう」

「まあ、それは私も同じだけど」

「嘘おっしゃい。」

「ほんとだってば~。あんまり来れないからだよ~」

「まったく・・・昔はよく飲んだのにね~・・・」

「それこそ嘘じゃん。会ったのは一年前だけど」

「ほんとにね~・・・かれこれ一年か~・・・」

一年前―

「やれやれ・・・アイドル休止を叫んだら、一変して暇ね~・・・」

かつて、メイコはアイドルとして有名だった。

16歳の頃に、咲音メイコと本名そのままでデビューした彼女は一躍有名になった。

が、21の時になるとさすがにもうアイドルとしての彼女は古くなってしまった。

売れ行きが徐々に落ちていき、そして、11月に活動休止を宣言。

ファンの間で復活を待たれている今、地元でフラフラしていた。

当てもなく路地を歩いていると、

「―っ!?」

目の前に、人が倒れていた。

銀髪(?)のポニーテールかつグラマーな女性が雪の上で倒れている。

このままでは凍死してしまうだろう。

厄介ごとは苦手だが、さすがに見てしまった以上放って置く訳にはいかない。

「ちょ、大丈夫!?」

叫んでみたが、屍の如く返事がない。

(え?これまずくない・・・?きゅ、救急車を―)

と、携帯を取り出そうとしたその刹那

「ひゃぁ!?」

いきなり、女性の手が鋭く、かつ的確にメイコの足を捕らえた。

「・・・・・けて」

かすかに呟くような感じで何かを言っている

「え?何!?」

メイコも慌てて問う

「・・・お金・・・ないの・・・助けて・・・」

彼女はそう答えた。

「え!?う、うん!!どうすればいい!?」

メイコは多少錯乱しているせいか、彼女に意見を求める

「・・・とりあえず、あの居酒屋まで・・・」

「は、運べばいいのね!?わかった!!」

と、近くにあった居酒屋に運ぼうとせんと、彼女を抱えあげるが、

(お、重い・・・)

「ああ、いらっしゃい」

店に入ると、店主は笑顔で出迎えた。

「おや?初めて来るお客だね。ゆっくりしていきな。」

「いや、そうじゃなくて・・・この人を・・・・グフ」

と、後ろにいる彼女を降ろす。

慣れない重労働のおかげで息が上がっている。

「おお?ハクさんじゃないかい。大丈夫かね?」

「とりあえず・・・酒を・・・」

「わかったわかった。冬だから熱燗にしとくね。」

と、店主が酒の用意をする。

その間に彼女は、自分が助けたこの女性の素性を問うてみる。

「名前は、ハクっていうの?」

「・・・はい。弱音・・・ハクです。助けて下さって、ありがとうございます・・・」

と、弱弱しく「弱音ハク」と呼ばれる女性は自己紹介した。

「ああ、よ、よろしく。あたしは―」

「ああ・・・メイコさんでしょ?」

「え!?いや、その―」

(ちぃ、面倒なことになった!!)

心の奥底で舌打ちを漏らす。

当然だ。活動休止中のアイドルがこんなところにいて、スキャンダルにされたりするのは面白くない。

と、彼女は考える。別にスキャンダルな程ではないが、ニュースとかで記事にされたりするのが嫌なのがメイコなのだ。

前までは特に気にしなかったが、人気が落ちて以来はちょっとしたスクープ的な感じのニュースでしか映らなくなってしまったので気に食わなくなったのだという。

(当然、この人もこのことを告発するかも・・・)

と、思った。

「すごいな~・・・・」

と、目を輝かせながらハクは見つめる。

「いや、そうでも・・・」

「でも、活動休止するくらいお疲れなんでしょう・・・?」

そして、ハクは察したように

「大丈夫・・・今回のことは二人の秘密にしときましょう・・・・」

「あ、はぁ・・・・」

意外な反応に少し戸惑った。

だが、安心した。この人は自分の状況を理解してくれている。

だから、信頼してもいいかな・・・と思った。

「はい。熱燗二つ~。そちらのお客もどうぞごゆっくりしていき~」

「あ、どうも。」

「じゃ、乾杯~・・・」

「ちょ、いきなりかいっ!?」

「まあ、いいじゃないですか・・・・何かの縁で会ったんですから、ご挨拶の証として・・・」

「初対面の人に乾杯するかな~・・・・」

と、若干呆れ気味になったが、

「まあ、いいや。乾杯」

と、笑顔になって二人で盃を交わした。

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しばらく飲んで、元気になったところで事情を聞きだし始めた。

「なんであんなところに倒れてたの?」

「え~と・・・お金がなくて、お腹すいて、そのまま倒れてしまったんですよ。」

「ふ~ん・・・」

メイコは一回、熱燗を注ぐ。

「仕事とかは?」

と聞くと、

「・・・・・・・・」

ハクはうつむいた。そしてしばらくして、

「・・・恥ずかしいことですが、バイトを転々・・・」

と口を開いた。

「この不景気・・・就職先がなくて・・・・」

ハクは泣きそうになる。

「あ、え~と・・・・ごめん。」

なんだか気まずくなってしまった。

「あ、いえいえ大丈夫です」

ハクも気を使ってか慌てて振舞った。

「夢を追いかけて、仕事を辞めたらこのザマでしたよ。」

「夢って・・・何?」

とメイコが聞くと、ハクは熱燗の日本酒を一気に飲み、そして言った。

「・・・あなたのようになりたかった。」

はぁ?

「あなたみたいになりたかったんですよ・・・」

「あなたも・・・アイドルになりたかったの?」

「はい・・・」

ハクは店主に熱燗のおかわりを申してから話し出す。

「3年前、あなたを初めて見た私にとっては、あなたは衝撃でした・・・」

                                            続く





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

冬の談笑~弱音とメイコ~

これはあくまでリハビリです。なんとなく、一年のまとめとして的な感じの内容の小説が書きたかったのでなんとなくリハビリついでに描き始めました。2~3部の短編を予定してます。なぜリハビリかというと、前に、「ボーカロイドの夏休みシリーズ」を描いてたんすけど、スケジュールがあまりにも忙しく、(部活関係で)投稿する機会を待っていたらもう夏も過ぎ、今更描いても季節はずれなんじゃないか?と、思ったので結局何にも言わずに止めました。また、歌詞のほうもなかなかいいのが思い浮かばず、半ばスランプ状態となって挫折してまして、結局このピアプロに投稿することなく月日が経ってしまいました。なので、久々に投稿するための一種のリハビリとして今回の小説を書きました。とりあえず、コンセプトは「大人の思い出話をどのボーカロイドはするのか?」というのを考えて出した結果、メイコとハク姉さまにやらせてみました。内容の関係上、前の「ボーカロイドの夏休みシリーズ」とは関係ないかもしれないと思ってください(今回の主要キャラはみんな人間として扱っているので。)今度は中途半端にせず冬の間に書き終える所存なのでよろしくお願いします。※ちなみに、内容と裏腹に俺は高1であることをお忘れなく・・・

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投稿日:2010/12/09 23:30:36

文字数:2,876文字

カテゴリ:小説

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