【第二話 石】
つぎの日。私はいつものように自転車で登校中。それにしても暑い!まったく、まだ7月中旬だってのに。
ちなみに、私の通ってる学校はセーラー服ではなくブレザー。ま、高校だから一般的だよね。
「楓ー!」
チリンチリンと、自転車のベルを鳴らしながら登場。振り向くまでもなく、花絵だってのはわかる。そんな事をする私の友達は花絵くらいだからだ。
「おはよう、楓。今日はあっついねー」
「うん」
「私朝だってのにもう汗だくだくだよぅ」
花絵の方を向くと、確かに首のあたりに汗がたまってる感じ。首からかけたタオルで、パタパタ顔を仰いでいた。
「危ないよ、片手運転」
「いいんだって」
お構いなしに、花絵は仰いでいる。
「ふう、あれ?」
「何?」
花絵は前方を見たまま、数回眼をぱちぱちさせた。
「ねぇ、見て。あそこ」
花絵はタオルをつかんだままの手で、指さした。その先はゴミ置き場。そう、私が昨日あのぬいぐるみを見つけてちょっと不思議な少年に渡した場所。
「ほら、何かあるよ」
キーという音を立て、花絵はゴミ置き場の前にとまった。私も後に続いてゴミ置き場の前に自転車を止めた。
「何だろ、これ。楓も見てよ」
花絵はゴミ置き場の前に落ちていたものを拾って私に見せた。それは、鈍い光を放っていた。掌サイズの角ばった石だ。
「ヘンだと思わない?こんな石見たことないよ」
「別にヘンだとは思わないけど。石のレプリカとかじゃない?ほら、映画に出てきたやつとか」
「そう・・・かなぁ」
腑に落ちないといった表情で、花絵は石を掌の上で転がした。
「ねえ、そろそろ行こうよ。もうあと15分しかないよ」
時計を見ながら、花絵に言ってみた。花絵は「うん・・・」と聞いてるのか聞いてないのかはっきりしないような声で返事をする。
「そんなに気になるんなら、もらっちゃえば?ゴミ置き場にあるんだから、いいんじゃない」
「・・・・そうする」
なぜか、花絵はぼーっとしている。
「ちょっと大丈夫?」
心配になってきた。この暑さで熱中症にでもなったのか。
「あ、大丈夫。行こう」
花絵は石を制服のポケットにしまって、自分の自転車の前についた。いつもの花絵に戻ったみたい。
そうして、私たちはゴミ置き場を後にして、学校へと向かった。
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