春になれば華(はな)やかに 花が咲き乱れては
密(ひそ)やかに散り逝くのを 見る者は誰もない
今は何も見当たらぬ ただ深い山奥に
かつて里(さと)が在(あ)りし日を 知る者は誰もない

朝日(あさひ)のぼれば炊事(すいじ)の 煙(けむり)風に流れる
鋤(すき)を担(かつ)ぎ畑(はたけ)行く 朗(ほが)らかな笑い声
幼い子の手を引いて 花を摘みに出かける
穏やかなる日常は 軍靴(ぐんか)にかき消された

悲鳴と怒号響いて 逃げ惑う人の群れ
幼い子の魂は 静かに消えていった
優しい村人は今 その姿すら見えず
家や田畑 人すらも 炎に飲まれて
その形すら残さず 焼け落ちて消え去った

少し欠けたしゃれこうべ
何も語ることはなくて 花に抱(いだ)かれ眠る

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

言葉なき哀歌

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投稿日:2017/05/31 22:11:18

文字数:327文字

カテゴリ:歌詞

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