※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ

・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』

※ここ大事※
 多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz

恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです

上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ




☆☆☆☆☆☆☆




※若干の流血表現アリ


15.

SIED・SINOBU


とりあえず、正隆さんを別室で休ませると、オレは再び青年の部屋に戻る。
何か用があるわけでもないし、戻る必要なんてないのに。

むしろ今は、正隆さんの傍に付いていてやるべきじゃないか?

でも、オレは何故かここにきた。


(それは多分、彼がこの青年に投げつけた言葉の数々が…)

まるで、自分に向けられたものかのように、心の奥底に突き刺さったから、なのかも知れない。


(できそこない、欠陥品なのは…オレのほうだよな、)

ここ最近はもう開き直って、達観したつもりになってたけど、久しぶりにグサッときた。


(それにしても…、)

どこからどう見ても、素人のオレには普通の人間にしか見えない。身体中にできた傷は手当てされているとはいえ、未だに滲んでくる血が包帯を薄く染めている。


(これが、アンドロイド、)

オレはそっと手を伸ばすと、腕の皮膚越しに浮き出ている血管らしきものに触れてみた。仄かに暖かい、体温がちゃんとある。


(かなり精巧に創り込まれているように見えるけど、)

本当に正隆さんが言うほど、粗悪なんだろうか。

その艶やかな黒髪に惹かれて、指を絡ませゆっくり梳いてみると、しなやかで柔らかい感触が気持ちいい。


(おお、髪サラサラだ、)

手触りが気に入り、調子に乗って何度も撫でていると。



伏せられたままの彼の瞼が、細かく震えた。



「…あ、」

起きるのかな?




16.

SIED・KANA


「何よ、これは…、」

事故があった施設に派遣したエージェントから届いたメールに目を通し、添付されていた映像を見た私は思わず息を吞む。

まだ現場検証が済んでいないのか、所々に映る人影の間から見える白い壁が、無造作にペンキをぶちまけ、塗りたくったように赤いまだら模様になっていた。
メールの報告によれば、重軽傷を負った8人の所員たちは、皆カミソリやメスの様な鋭く薄い刃物で傷付けられていたらしい、…死者は出ていないとはあったけど、現場を見る限りでは相当酷い状態だったのは想像に難くない。

やはり、偶発的に起きた事故というよりも、何者かによって引き起こされた事件としか思えなかった。

それを無理にでも事故として処理し、隠蔽しなくてはならない事実があるとするならば。


(人のもの盗んだ挙句、盛大に失敗してこんな事態を招いたとしたら、外聞悪すぎよね、)


もう一つ、これは事件が起きた時の施設内の防犯カメラの映像が添付されていた。こちらは無事だった所員が、警察からは隠したもののようだ。


「…え?」



画面の中、髪からも滴るほど全身に血を浴びた黒髪の男が、ふらふらと歩いている。



この子は…。



「!大変、篠武さん…!!」

私は急いで部屋を出ると、彼女が向かった廊下の先へと走っていった。




17.

SIED・???


暖かい何かが、優しくぼくの頭を撫でている。


なんだろう、とても心地いい。こういう表現が正しいとは思わないけど、『生まれて』初めての感触。

今までぼくに触れるものは、痛かったり苦しかったり、冷たくて嫌なものばかりだった。



気持ちいいな、もっと、して欲しいな。



スリープモードになっていた身体各所の神経回路に、僅かに伝い走る電気信号。
この暖かいものが何なのか、確かめたくて目を薄く開けると、まぶしさについ顔を歪める。

…なんでかな、ぼくは光が苦手みたい。



「何処か、痛むのか?」

その時、聞こえた声。少し囁くように静かな、それでいてよく通る澄んだ声は、今までに聞いたどんな音よりも、すんなりと耳に馴染んだ。


「ん、…まぶしい、」

「そか、ちょっと待ってな、」

離れて行った温もりを残念に思っていると、やがて明かりが絞られ視界が利くようになる。

「これくらいで、大丈夫か?」

「…うん、」

まだ少しぼんやりする視野の明度と範囲を調節して、声のほうに顔を向けると、見たことのない女の人が立っていた。

さっきぼくの頭を撫でてくれていたのは、この人なんだろうか。

ぼくは上半身を起こすと、傍にきた彼女の手を取り、自分の頭に乗せてみた。


…うん、これだ。間違いない。


もう一度撫でて欲しくて、ねだる様に見上げれば、彼女は驚いて目を見開いたあと、さもおかしそうにふわりと笑った。



続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

※亜種注意※Lost.Eden//叶わなかったシャングリラ【帯マス】第五話

第五話で、やっとここか…遅々として進まなくてすみませんORZ

閲覧数:58

投稿日:2016/09/20 16:38:24

文字数:2,209文字

カテゴリ:小説

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