「はしか」
あいつの本は読むなといつか誰かに言われた
代表作だけ知っていた
名前だけを覚えていた
くだらない人だと思っていた
悲しい人だと想っていた
いつの間にか私も頁をめくっていた
目にした文は意外なことに綺麗な並びで
口ずさむようになぞった
少しずつ自分に似ていた
最低な人と信じながら
素敵な人だと感じていた
いつの間にか私もはしかにかかっていた
暗さは優しさの裏返しだと慰める
情けないな ビビっているだけなんだろ
寂しい夜にはあなたが過ぎる歌を聴く
変わらないものにすがっていたい
さあ 潜望鏡から覗くシンパシー
繁華街に紛れた孤立はシカトして
治らない僕の認知が
言葉と心中して誰を待つ
青春なんて言葉で僕らくくってくれるな
分かってくれないならせめて
お前の地獄を笑うから
くだらない人と思えばいいよ
悲しい人だとお想いよ
いつの間にか私も信者に成り下がり
私だけが知っている 彼の憂鬱
かしましいわ エゴなんてスパイスだし
悲劇気取りも悲劇と同じさ
診察券もないくせに
いざ 潜望鏡から臨むバンクシー
蛍光色な病理に口を閉ざして
治らない僕のアイロニー
「あなたが憎い」というアイ・ラブ・ユー
未知故に神たる
すべからく夢見る
書き上げてよ
あなたなりの
幸せなさよなら
時として生きたがり
罪深さも芸となり
惜しむらくは
生まれ年を誤ったわ
また潜望鏡から覗くシンパシー
震えるほど遠くて怖いほどに近い
治らない僕の認知も
あなたが物語ってくれたらって思う
いざ 潜望鏡から臨むバンクシー
にも満たない脳裏をあなたに届けたい
治らない僕のアイロニー
「あなたが憎い」というアイ・ラブ・ユー
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