誰も気付かないように
翅を休めて眠る
「此の世界に居場所は無いの」
孤独と云う言葉で分かり合って仕舞う

聲に満ちた往来
空言の残響で堆く積み上げて
巡る雲を追った日々が
悲しみの色を忘れたがっている

眇めようと溟濛
然ても此の畢竟が厭に煩わしくて
目を閉じて仕舞うのだ
薄灯りひとつすら背けようとした

「私達は其々に違う自分らしさが在る」なんて
ありふれた言葉が満ちて
各自の聲を同じ色に染めて仕舞うわ

静かに瞬く星は夕闇の
深い陰に沈む儘
頽れて離れ過ぎた天蓋は
私達を置いて何処へ征く？

今に綴る孤独が誰かを
救う標と成らないように
心が持つ悲しみの総てを
理解されない儘で居たいのだ

嗚呼、此処で息を繋いで命の真似を
ただただ繰り返す儘、朝を待つ

花綵と空、紐解く螺旋と
漣の律動、夢虫の翅の音
窄まる視界は淀み
嘗ての光を失くすのだ

此れが最期では無いとは
とても言い切れないけれども
明日、世界が目覚めて仕舞う迄
歌う事は出来ると思うから

誰も気付かないような聲で
誰か気付いてと歌っていた
此の悲しみを表す言葉が
今も見つからずに安心していたんだ

孤独に縋っては今も
泣いた儘だから
私だけの詩で

ねぇ、君の言葉で
此の痛みに名前を付けて
私と違う言葉にして
分かり合えない事を分かるようにして