流れ着いた瓶を拾い上げた僕は
波の音に混ざった声を聴いた
ガラスに溶け出した深く澄んだ青と
潮の香りを秘めた滲んだ文字

水面に波紋が広がるように
切なさが淡く胸をつかんだ
照りつける日差しが景色を包んで
海風が手紙を空高く舞上げていく

夏空に 映し出された影法師
吹き付ける風を抱きしめ
鳴り響く瓶の中の声無き声は
ただ歌い続けた

街を歩く人へ歌い続けた私は
音の群れに消されて声を捨てた
夕焼け色の空影絵のような遊具
土の香りを秘めた花々たち

錆び付いた公園の ベンチに座って
サイダーを飲んで喉を潤す
閉じ込めた思いを海に流して
目線は雲を越え伸びていく

夏の夢 砂に描いた青写真
止まらない時を恐れて
流れ星 指先でなぞった過去は
もう戻らないから

叶わなかった瓶詰の記憶
流れていった虹の切れ端
いつか誰かの
背中を押して

夏空に 映し出された影法師
吹き付ける風を抱きしめ
夏の夢 砂に描いた青写真
君へと繋がっていくから

書き上げた歌詞を瓶に詰めた僕は
波の音に目を閉じそっと流した

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • オリジナルライセンス

夏色の手紙

円環の中で願いは回り続ける。

閲覧数:94

投稿日:2022/05/24 22:10:56

文字数:455文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました