まっさらな白い白い紙の上に
一滴のインクのしみがあるような
ものすごく自分が
一人でしかない、ということを
感じることがある
何かがこわくて ちぢこまったら
まわりにだれもいなくなって
さみしくてさみしくて
でもそこから動くことが とても恐ろしくて
----やっとのことで 逃げてきた場所だから
そこから踏み出したら もう逃げられない
すぐさまに 何かが追いかけてくるような
そんな嫌な幻想にとらわれて
でもじっとしていたら
とてもとてもこわいものが
押しよせてきて
…頼りなくて安全な私の場所
(こんなこと以前にもあったなあ)
(あのときは どうしたんだっけ?)
気分を変えようとしても
明るい曲をかけても
その唄のむなしさがひしひしと感じるだけで
さらに私をしばりつける
寒くないのに ヒヤリときて
誰もいないことを ごまかすように
ひしと自分を抱く
でも私一人では腕がたりなくて
肩までしか届かないから
無防備な背を守るように
さらにごまかすように
白いつばさをはやす
それは美しくてきれいで 荘厳さすら感じるけど
その分とてももろくて にせものだから飛べなくて
さみしくてコワれそうだから
最後の精一杯の虚勢で
つばさで 自分を覆って
二度と出られないようにして
そしてやっぱり 白い雪の中に
溶けるように 崩れていくんだ
(どこからか声がささやいたんだ)
(----もう泣かないで 信じて まだ大丈夫だから)
(知らず知らず 涙を流す私の)
(疲れた背中をさすりながら)
(さみしさでくしゃくしゃになった 私の心を)
(きれいにシワをのばして)
(やさしいことばをくれたね)
おねがいだから
遠くに行かないで
つばさの奥に消える前に
私を抱きしめて
今も助けを求めて
懸命にかれた声で
呼んでいる
ここから歩きだす勇気を
与えてくれることばを
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