3. 瑪旁雍錯 (マーバムユムツォ)
長い長い旅の果てに旅団は
高山の狭間に湖を見るという
まさにそこにあるのが嘘のような
霞に浮かぶ 幻の湖
汗にまみれた手にその水を取ると
冷たさに意識が逆戻りするという
疲れが瞬時に吹き飛ぶような
魔法を湛え さざめく湖
遥か彼方の岡仁波斉(カンリンポチェ)の峰を
逆さに映したと思えばすぐさま消える
何事もなかったかのように湖は
不思議な霊気を帯びてそこにある
砂に呑まれ歩き続けた脚に
湖の冷たい霊気が沁みていく
その瞬間にその旅人は
旅の目的を忘れるという
我らは何故ここに来たのか
我らは何処へ行くはずだったのか
湖は決して答えず
ただ冷たい水を恵みてそこにある
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瑪旁雍錯(マーバムユムツォ)
ルカさん新譜8曲目の「瑪旁雍錯(マーバムユムツォ)」は、一昨日(5日)からの2日間で書き上げてしまいました。アルバムでは、3曲目の位置に収録されます。
「瑪旁雍錯 (マーバムユムツォ)」というのは、中国のチベット自治区の西部……インドと国境を接するヒマラヤ山脈の近く、中央アジアへと伸びるシルクロードの南道(天山南道)の道沿いにある、海抜5000m以上の高原に広がる聖なる湖です。湖面には、北側にそびえる聖なる山、岡仁波斉(カンリンポチェ = カイラース山、標高6656m)を逆さに映す、チベット仏教を信仰する民にとっては大変重要な聖域であります。
ま……そういう聖なる美しい湖の情景を謳いたくて、15年前に詩を書きました。今回、15年の時を経て、ようやくその詩に歌がつき、ルカさんに歌ってもらったのです。
説明が長くなりました。曲もやたら長いですが、ラクダの上に跨っててくてく歩むような落ち着いたリズムで、訥々と歌い上げます。どうぞご試聴ください。
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