商店街の裏、七番通り
喧騒の行方、鳴かぬ閑古鳥
「すみませ〜ん、予約した者ですがもう空いてるでしょうか？」
お待ちしておりましたわ

回転スピードは追いつき難し
多忙の中でも膳は急げとな
「店員さ〜ん、舟盛り一杯！おすすめ沢山乗っけて頂戴」
かしこまりました、お待ちを

天麩羅、お蕎麦、お寿司に吸い物
絃歌と客の賑わい響き渡る
父の遺した大事なこの店
捨てる訳にはいかないのよ

一見さんでもいらしてね
この気高き料亭へ
終わらぬ夜の暇に寄り添えたら 幸せだな
ささやかな宴なりや


来訪の鈴音と共に現れた
金髪碧眼の令嬢の一言
「Excuse me, I have never been to this awesome castle of joy…」
あの、えと、私お給仕なので、さっぱりですわ

大変だ 激務でてんてこ舞いだわ
あちらこちらで粗が出てきてら
「Don’t worry, I can read menu and some name of japanese food!」
知らざあ言って聞かせやしょう

すき焼き、カツ丼、お刺身、うな重
侘びと寂びが艶やかに入り乱れる
母の教えた清い心掛け
忘れた日など無いはずなの

一見さんでもいらしてね
この気高き料亭へ
終わらぬ夜に恋を芽吹かせるなら この店でね


明日も新たな人たちが夢うつつで帰るだろう
辛い思いもしてきたよね
約束したあの人がまた うちで晩を明かすなら
膳を運ぶ私の腕にも決意が宿るんだわ

一見さんでもいらしてね
この気高き料亭へ
終わらぬ夜の暇に寄り添えたら 幸せだな

一見さんでもいらしてね
この気高き料亭へ
終わらぬ夜に恋を芽吹かせるなら この店でね
ささやかな宴の日へ

ささやかな宴なりや