其(そ)の鶴 我と、眼を合わせれば
うら若き、乙女の姿に戻らん
愛おしき、貴女(あなた)の姿に戻らん
「愛する人を、この眼に写しているとき
私は、人間に戻れるのです」
繰り返し、言った言葉 その真実
「呪いは、本当か
そして、それが
呪いの、全貌か」
「私は、ずっと
貴方と、見つめ合っていたかった」
その、白く細い腕は 羽と成り
容(かたち)は、灯(あかり)と共に 鶴に、変わる
夜明けの空に、舞い上がる 一羽の鶴
夢中で、追いかけ
山々の向こうへ、向こうへ、見えなくなって
「愛する人を、この眼に写していないと
私は、人間で、いられぬのです」
眼を逸らし 瞳、涙 尚、小さく
「済まない、本当に
何故だ、こんな
恨むよ、呪いなど」
「私は、ただね
貴方と、愛し合っていたかった」
その、白く細い腕は 羽と成り
容(かたち)は、灯りと共に 鶴に、変わる
夜明けの空に、舞い上がる 一羽の鶴
夢中で、追いかけ
山々の向こうへ、向こうへ、見えなくなって
一人の朝に また、寒い 巡った、冬
夢中の、想い出
白鶴が、向こうへ、向こうへ
飛んでは、消えて
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想