神様…なんていないのかもしれないけど、いると仮定して訊きます。
「運命」って、本当にあるのでしょうか?
というか、恋愛なんて言葉と全く縁の無かった俺が好きな人が出来て、たった数カ月で、こうして「デート」とか言うやつをやっていいのでしょうか?
てか、マジでどうすりゃいいのか教えてください。切実に!!
……って、無理ですよね。分かってます。そんなに頭が逝ってるつもりはありません。例え周りの皆より頭が少し逝ってたとしても、ウチのマスターよりはまともだと思います。(「なんだと?!(by亞夜」)
…兎に角神様、今日一日だけで構いませんので、どうか「理性」を勝たせてください。この前みたいに「理性ってなんですか」状態になったらもう家に帰れないので。
「さっきの乗り物楽しかったね~。…どうしたの?難しい顔して」
「……はっ!え?!な、何?ど、どした?」
「…別に…。でもさっきからなんか変だよ?汗もかいてるし…。これ、使っていいよ」
はい、と言って可愛い柄のハンカチを手渡してくれたのは俺の彼女(と言っていいんですかね?)のネムリ。真っ白で綺麗な髪を持っていて、それでいてとっても可愛くて……。
って、俺また見とれてた…。…駄目だ駄目だ!今日はミチカ姐もキトもマスターも三色ジャムも誰も頼れる(?)人なんていないんだから、何が起こっても自分でなんとかしなくちゃいけないんだし…。
しかも今日のデート場所は「遊園地」…。デートの王道とは言えども、俺は遊園地なんてところは学校の修学旅行でしか行った覚えはない。
一応サイトを探してある程度調べたが、不安は米粒程度ですら減っていない。
でも幸いなことに(?)もう既に2時間は経過している。この感覚ならデートが終わるまではまだ理性が勝ってくれるはず…。
てか、なんでこんなに俺は理性を保つのに必死なんだよ!普通こんなの気にしてデートなんてしないよな?!畜生…マスターめ…。なんで俺をこんな頭にしたんだよ!!マジで!!
「あのー、もしもーし?シド君、大丈夫?ちょっと休憩する?」
「え?あ、あぁ。大丈夫。そうだな…休憩しよっか」
「うん。あ、休憩ついでに何か食べようよ!えっと…近くに何が売ってるのかな…。あ、アイスが売ってるみたいだね。行こう行こう!」
「あ、あぁ…」
うわ…笑顔マジ可愛い…てか超自然に手を握られた!って、あれ?さっきまでも握られてたっけ?てことは握り直し…?あぁ、マジで心臓落ち着けって!てかいっそのこと止まれ!!…って駄目だ。普通に死んじまう。
……あのー。誰か心臓変えてください。このままじゃ頭より先に心臓がお陀仏しそうです。
そんなことを考えてるうちに俺たちはアイス屋に辿り着く。大分小さかったが、人が8人ぐらい並んでいた。
「あ、ここのアイス屋さん一人一種類みたい…。何の味があるのかな?」
「まぁ、よくある味はあるんじゃねえの?」
「僕ね、苺が好きなんだ~。ここのお店売ってるかな?」
「苺か…。あるといいな」
「うん!」
そう言ってる内に前の人はどんどん減って俺たちの番になった。すぐさまネムリはケースに飛びつき、ケース内を見つめた。俺もネムリの後ろから眺め見た。
見ると、アイスの種類はおおよそ20は越してそうだった。王道であるバニラやチョコレートはもとより、やっぱり苺や抹茶味のもあった。
他には杏とマンゴーが入ったアイスや、バナナアイスにオレンジのリボンが入ったアイスもあった。そして端の方には酒入りアイスもあった。
なんか凄いアイス屋だな…と感心していると、ネムリが小さく唸っているのが聞こえた。どうしたんだろうと思い、俺はネムリの横顔をちらっと見た。すると、ネムリの大きな目がある二点を見つめていた。恐らく、どちらか二つで迷ってるんだろう。俺はネムリの目線を追ってそのアイスを見た。どうやら、「苺」と「チーズケーキ」で迷っているらしい。
だったら…一か八か。
俺は思い切って「すみません、俺チーズケーキ。で、彼女は苺で」と言った。
すると案の定、ネムリは吃驚した表情で俺を見てきた。その途端、なんでか顔がすっごく熱くなったがそれでも言わないといけないことは言わないと、と思い、少し顔を背けて言ってみた。
「…苺とチーズケーキ、食べたかったんじゃねーの?」
「…うん」
「だったら半分ずつにしようぜ。そしたら一人の取り分ちゃんと食えるだろ?」
「…うん…!」
その返事が聞こえた途端、一瞬頭がクラッとした気がした。でも顔を背けてたから俺は気が付かなかった。ネムリの顔も、俺と同じくらい真っ赤になってたのに…。
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それからまた数時間たって午後3時。俺たちはアミューズメントコーナーに入った。
「うわ~!プリクラの種類沢山あるね~」
「そうだな…。」
ネムリの声にそう答えつつ、俺は冷や汗が止まらなかった。…俺、多分ここにあるプリクラ機、全部取ったことがあるぞ…。(全てキト同伴。たまにミチカ姐も同伴。)
俺は足を若干速めた。UFOキャッチャーなら得意なんだ!!是非そっちに行きましょう!!と願いつつ…。
だが、神様はそんなに優しく無かった。というか、マスターと神様の性格はきっと同じだ。人の気持ちなんてほとんど無視をするところとか。
ほんの少しスピードをあげたその瞬間、俺は上着を少し引っ張られた。ドキッとして振りかえると、ネムリが顔を真っ赤にして俯いて何かを呟こうとしていた。
心臓の音がめっちゃくちゃ五月蠅かったが、俺はネムリの声を聴きもらすまいと耳を澄ました。
すると、ネムリは上目づかいで俺を見ると
「…あ、あのさ…プリクラ取らない?今日の記念で」
と言い、また直ぐに俯いた。ちょ…ヤバいヤバイヤバい!!マジでやめてくれ!そんな目で俺を見るなあ!!///一気に「理性」の寿命が縮んだわ!!そしてまた頭が…。俺、今熱測ったら絶対に40度近くある気がする…。って、おい!返事返事!
「ぷ、プリクラ!?い、いいけど…?」
「ほ、本当に?む、無理しなくていいんだよ?」
「む、無理なんて誰がすっか!」
…もういい。全てキト&ミチカ姐&マスターのせいにしてやる!兎に角、落書きの時間をなるべく少なくすれば俺の命は長らえる…。
でもまさか俺が妹(+従姉)以外の女性と取る日が来るとは…。この世も末か…?(大袈裟?んなはずは無い!)
そんなことを思いつつ、俺はネムリを引っ張ってあるプリクラ機に入って、いつもの如くに400円をすらすらと投入した。
…ん?あれ、俺……。…あ゛!!!し、しまった…;ついキトとミチカ姐といる感覚で!!
「あ、僕このプリ機初めて…って、なんでシド君…。って、もうお金入れたの?よく分かったね、投入口の場所…。男の人って大抵迷うはずなのに…」
「そ、そうか?!いや、わかりやすくね?」
「でもバックの置き場所も…」
あーっ!!バックも無意識に置いてたー!!!(冷や汗MAX)
「…ま、いっか、取ろう取ろう~!」
…良かった。ネムリがそう突っ込んでくる奴じゃ無くて…。
しかし、本当の試練はこれからだった。
まず、今までが「キトの【姉】」としていつもプリクラを取ってたせいで、選ぶ背景がやはりそれなりのものになっていた。しかも、背景の選択時間の感覚も養われてしまっている&なるべく多く取れるように鍛えられていることもあって、ゆっくり選ぶのに慣れていないのだ。
だか、それはネムリがさっさと背景を選んでくれたのでセーフとなった。ふーっ、危ない危ない…。
でも次の「ポーズ」も俺にとっちゃ大変だ。今まで「女同士」を前提にして取ってきているために(しかも相手がキト&ミチカ姐という身内)普通男が彼女とのデートの際にどんなポーズをしているのか全く分からないのだ。
なので、俺はとりあえずネムリとほぼ同じポーズをとることにしてみた。時々「しゃがんで~」とか「カメラに近づいてみよう~」という声を掛けてくれたため、とりあえず無事に撮影は終了した。
「落書きコーナーは【ネギ緑】って~。行こう~」
「あぁ。」
さあ、問題はここからだ。まず、スタンプとかでも可愛らしいのを淀みなく貼り付けて行くと色んな誤解を招きやすい。かと言って、「初プリ」とかいう文字をさっさか書いたら書いたで、「なんでプリクラとか行く機会なんて無いはずのこいつがこの言葉をすっと書けるんだろうか」という疑問も抱かれかねない。
だからと言ってイニシャルを入れたところでその後どうするんだ、という状態に…。それに、迷うふりをするにしてもまた無意識できっと選んでさっさか書いてしまう可能性大。
とりあえずこのプリクラ機は他と比べるとペンの種類にしてもその他の装飾もかなり多いはず。この前、キトに連れられて取った時もその数の多さにビビった覚えがある。
だけどその割に落書き時間は短く、あっという間に終わる。
…仕方ない。背景弄りだけするか。あと日付。日付の種類も確か15個近くあったはず。それを選ぶのに時間を掛けよう。
俺は心の中で頷くとペンを持った。
そして数分後…俺たちはコーナーの外に出ていた&俺はネムリに訊ねられたく無かったことを訊ねられていた。
「……ねぇ、シド君。あのプリクラ機で取ったこと…あるでしょ?」
「…。(あ゛ーっ!!!神様のバカヤロー!!」
「ねぇ答えてよ!誰となの…?もしかして……」
あぁ…青春、さらば……。よし、帰ったらマスター暗殺しよう。そうしよう。てか、その前に真実を伝えないと…。
でも何か凄く不機嫌に見える…。…まぁ、当たり前か…。うぅ…せめて別れ際は笑顔でいてくれっ…!
「いや…あのな、聞いてくれ。これマジで事実だから。嘘とか俺付いたらすぐに顔に出るから付けないし、付かないから。
……俺の妹と従姉が誰か分かるよな?」
「………キトちゃんとミチカさん?」
「あぁ。…んで、ミチカ姐はともかく、キトは小さいころからずっと『兄』より『姉』が欲しかったらしいんだ。
で、ある日ミチカ姐が家に遊びに来た時に俺に二人で女物の長いウィッグを被せて、それが思った以上に似合ってたらしくて…。
それからというもの、俺はキトに女の格好をさせられて色んなところに連れていかれて…。んでプリクラまで俺と取りたがって…。しかも新機種が出る度に連れて行かれたもんだからさ…」
「…それで直ぐにプリクラ機を選べたんだね?」
「そういうことです…」
「……ならいいよ。ごめんね、そんな事情があったなんて、全然分かんなくて…」
「逆に分かった方がすげーよ。でも俺の方こそマジでごめん。先に言っとけば誤解を与えずに済んだのに…」
「ううん。謝らないで!…でも…何か、ほっとした…」
ネムリはそう言うと少し俯いた。その時、俺の目にはネムリの目から何か光るものが零れ落ちたような気がした。
そして、頭の中で何かが「プチン」と切れた音がした、と思ったその時にはもう俺はネムリを抱きしめていた。
「し、シド君…?」
「…な、泣き顔なんか見せんな…っ!泣きたいなら、今のうちに泣いてくれ!」
「……うん…!」
……あんまり人がいなくて助かった…。でも、そんなことはどうでもいい。とりあえず心臓と頭の寿命がもうそろそろ来そうで怖いです…。てか、理性負けちゃった…?
前半戦終了。
~バカ息子×お姫様のお話・前半戦!!~
いやはや長くお待たせいたしました…orz
はい、どんどん進むごとにカオス化します。てか、一日で読み終わろうなんてしないでくださいね?疲れますよ。
コメント4
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ご意見・ご感想
帝唖
ご意見・ご感想
結婚式はいつ!?いつ!?
なにこの萌え小説!!萌え殺し小説!!!!
もう「亞夜様」としか呼べない!むしろ様付け以外で呼ばない!
ありがとおおおおお!!!
師匠、タグナイス!
2010/09/21 21:41:31
門音
結婚式の日程は二人をくっつけてくださった大佐にお任せしてみたいと思ったr(殴
(だってほら、ツーショットを描いて下さってましたけど、背景が…wwwww((黙
でも本当にごめんなさい!!吹っ切れちゃってごめんなさい!!!自重無しだとカオス化し始める闇月クオリティでごめんなさいぃ!!orz
てか、様付けはおやめくださいぃぃぃぃー!!こんな人間につけちゃいけない敬称第一位ですよぉ!!;
コメントありがとうございました!!(´▽`*)
2010/09/21 22:56:05
安酉鵺
ご意見・ご感想
GJ&ALLOK!w
タグ追加「頑張ったお兄ちゃん」&「振っ切れたお兄ちゃん」
2010/09/21 01:44:02
門音
大佐いいのかこれで!?!!というか、一日で読んじゃダメって言ったじゃないk(((
((というか久々の長期休暇(?)の嬉しさのノリで半日で書きあげたこれでいいのか?!!(殴
…えぇ。頑張ってもらいました。でもやっぱり振っ切れたようです。(おい
コメントありがとうございます!!
2010/09/21 19:15:40
安酉鵺
ご意見・ご感想
ぶはははははははははは!!!!!アーッハッハッハッハッ!!!!ゲッホ!!エホッ…!!
ゼーハー(T∀T)ゼーハー
あー涙出た…GJ!!!
2010/09/12 20:18:12
門音
大佐そこまで?!
まぁ、笑って笑顔になってくれたならいいんですけどねw
というか、あのタグもしかしてまた大佐だったりしますか?www
でも中間は若干シリアスが入るからなぁ…^^;でも後半はちょっと遊びますwwてか弄ります。(?ω?´)キリッ
2010/09/12 22:07:11
帝唖
ご意見・ご感想
お兄ちゃんがんばったなぁwww
始終にやけっぱなしで読ませてもらいました( ̄▼ ̄*)ニヤッ
いやー、後半が超楽しみです!これを糧に生きていけますwww
2010/09/12 19:01:14
門音
こんなものを糧に生きちゃダメですよ!!←
てか色々とごめんなさいぃ!!!orz(土下座
もうマジで土下座もんです。ハイ…(滝汗
後半…というか中間&後半はさらにカオス化しますので注意です!!!;;;
2010/09/12 19:42:52